文=鈴木健一郎

NBAコンバインを参考にプロ契約への道を提示

Bリーグは6月1日に大田区総合体育館で『Bリーグトライアウト』を実施することを発表した。

対象となるのは30歳以下の男子。昨年は15選手が今シーズンのB1からB3クラブとの契約に至っているが、今回は規模を拡大。100名を上限に参加者を募り、NBAのドラフトコンバインを参考にしたファンダメンタルテスト(運動能力の測定)を実施。現在は日本代表選手のフィジカル管理を担当するスポーツパフォーマンス部会長の佐藤晃一は、かつてティンバーウルブズ時代にNBAドラフトコンバインのファンダメンタルテストを実地で経験しており、彼の意見を取り入れて本格的なメソッドを導入することになった。

「トライアウト」と言えばプロ野球の12球団合同トライアウトを想像するが、翌シーズンの契約を提示されなかった選手を集めるプロ野球のそれとは違い、Bリーグのトライアウトは新たなタレントの発掘にも重点を置いている。将来のBリーグを担うスターを輩出すべく22歳以下の選手を対象としたクリニックやスクリメージを行う『B.DREAM』プロジェクトの流れも汲んでおり、プロを目指す若い選手の参加も歓迎している。

募集期間は5月18日まで。現在は40名ほどの申し込みがあり、その中にはインターナショナルスクールでプレーする選手や、アメリカで育った選手が含まれている。昨夏のU-19代表で活躍したシェーファー・アヴィ幸樹は前者、榎本新作は後者と言えばイメージしやすいだろう。それを意識し、英語での募集要項も用意されている(https://www.bleague.jp/tryout/)。今回のトライアウトではプロ選手が新たな契約チームを見つけるだけでなく、日本の高校バスケの枠組みではプレーしていない才能の発掘にも期待したい。

B1、B2のレギュラーシーズンは先週末で終了。各クラブはシーズン終了の7日後までに翌シーズンの契約を提示しなければならない。ここで契約を得られず、今回のトライアウトに参加する選手も出てくるだろう。プロ経験のある選手と、プロを目指す若い世代の選手が同じコートに立つことも、今後のタレントの底上げ、発掘にプラスに働くはずだ。

また今回のトライアウトではプロ志望のコーチの参加も受け付けている。大河正明チェアマンは、競技登録者の数を引き合いに出してその意義を語る。「サッカーとバスケットボールではプレーヤー数は3対2ですが、指導者や審判は圧倒的に少ない。BリーグとしてU-15チーム設置を各クラブにお願いしていることもあり、これからプロコーチはもっと必要になっていく」

トライアウトに参加するコーチはファンダメンタルテストで選手の状態を見て、スクリメージで指揮を執ることでプロコーチの指導を体験することになる。またコーチの指導力向上を目的とした『コーチングセッション』も5月19日にブレックスアリーナで開催。こちらは主にU-15年代を担当するコーチの指導力向上を狙ったもの。5月17日まで参加者を募っている。

Bリーグがスタートして2年。まだまだ競技レベル向上の余地は大きく、年代を問わず底上げが求められる。埋もれているタレントの発掘、そして育成と普及の土台作りは、リーグとして腰を据えて取り組んでいくつもりだ。