ニック・ナースも憤る「説明の必要もない、ただ残念」
昨シーズンはラプターズの球団初優勝で幕を閉じたが、この優勝が決まった直後、球団社長のマサイ・ウジリは気分を台無しにされている。
NBAファイナル第6戦が行われたウォリアーズの本拠地オラクル・アリーナで、優勝が決まった直後にウジリは選手やスタッフを称えようとコートに入ろうとしたのだが、郡保安官代理に制止された。この際、ウジリがカッとなって暴行を働いたと警察当局から訴えられている。
しかしウジリは今週になって、この保安官代理を逆に提訴した。新たに公開された当時の映像を見ると、コートに入ろうとしたウジリがIDをスーツのポケットから出して提示をしても、保安官代理がウジリを強く突き飛ばしているのがはっきりと分かる。
この件についてラプターズの指揮官ニック・ナースは、ネッツとのファーストラウンド第2戦を前にこうコメントしている。「私からすれば、これは説明の必要もないこと。ただ残念でしかない。保安官の行動によって、優勝を喜ぶマサイの気分は台無しになった。今もマサイは優勝を心から喜んでいるだろうが、この一件のせいで嫌な気持ちはずっと残るだろう。もう1年もたつんだから。決着をつけた方が良い」
今年の5月以降、アメリカ国内では人種差別撲滅に向けた運動が盛んに行われ、特に白人警察官の黒人への暴力が問題視されている。保安官代理は白人男性で、ウジリは黒人男性だ。この映像を見て「またか……」と失望する者は多いに違いない。
ラプターズはあらためて声明を発表し、ウジリは暴行を働いていないと主張し、球団社長の無実を訴えた。
アメリカに蔓延している人種差別の根絶には時間がかかるだろうが、この件でウジリの無実が証明されるのは時間の問題だろう。だが裁判で勝ったとしても、せっかくの優勝気分に水をさされたウジリの気持ちが元に戻ることはない。