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ケビン・デュラントのウォリアーズ移籍による西の『1強体制』はリーグにとって不利益

ケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレンを獲得してセルティックスに『ビッグ3』が誕生した2007年以後、NBAではスター選手が3人揃わなければ優勝は難しいという考えが定着した。

今オフは、リーグ全体が注目したケビン・デュラントが、サンダーからウォリアーズへの移籍を決断。デュラント、ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンを中心とするスーパーチームが誕生した。

この状況を受け、NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、スター選手が1チームに集結する傾向について、苦言を呈している。

7月12日に行なわれた会見で、シルバーは、スター選手の一局集中について「リーグにとって理想的ではない」と、語った。

「全球団のファンが、上手くチームを機能させれば優勝できると信じられる環境が重要だ。私にとっては、規模の大小にかかわらず、全チームが優勝するチャンスが等しくあると感じられることが大事だ」

シルバーは、フリーエージェントとなりウォリアーズと契約したデュラントの決断そのものについては支持している。しかし、今後似たような状況を生み出さないため、将来的なルール変更も示唆している。

昨シーズンまでなら、西はウォリアーズ、スパーズ、サンダーの3チームが優勝を争うだけの実力を備えていた。ところが今は、サンダーはデュラントを失い、スパーズはティム・ダンカンの現役引退で意気消沈中だ。

古豪レイカーズはコービー・ブライアント時代を終えたばかりで、再建には数年の時間が必要。東にいたっては、レブロン・ジェームズが2014年にキャバリアーズに復帰して以降、キャブズ1強体制が続いている。戦力的に言えば、セルティックス、ラプターズがライバルになるが、実力差は相当なものだ。

スター選手が特定のチームに集まるのは、プロスポーツの醍醐味の一つではある。強力すぎるチームであっても、それがフェアな競争の末に生まれている分には何の問題もないはずだ。

しかし、リーグ全体のレベルを高める上では、各チームが同程度の戦力を持ち、拮抗する試合が増える状況が必要だ。特にアメリカ4大スポーツではその考えが強い。

ウォリアーズやキャバリアーズのチーム作りにかける情熱、プロとしての働きぶりは称賛に値する。だがそれも行き過ぎれば「リーグ全体の利益を損なう」と見られてしまう。どちらの見方にもそれぞれ正義があり、判断が難しいところだ。