バンブリート「娘と息子に会えないのはすごく寂しい」

NBA再開の舞台となったオーランドの『バブル』では、プレーするための環境はすべて整っているが、周囲から隔離された選手たちは主にオフコートで不自由な生活を強いられている。『バブル』での滞在はすでに5週間以上に及び、家族や友人と離れ離れの時期が続いていることは、決して小さくないストレスだろう。

それを力に変えたのがラプターズだ。現地17日、プレーオフファーストラウンドの初戦でネッツに快勝した試合前、スタメン紹介の映像は選手たちの家族によるものだった。最初はマルク・ガソルの愛する子供たちで、愛嬌たっぷりに「マイダディ」の名前をコールする。最後はカイル・ラウリーで、アリーナDJにも負けないノリノリの様子で「ラララララ・ラウリー!」と父親の名前をコールした。

試合後の会見でラウリーはこう語る。「あの映像が流れることは知らされていなかった。サンズがやっていたのを見て、面白いと思っていたんだ。いつも家族とは電話してるけど、子供たちが笑顔で手を叩き、名前を呼んでくれれば力になる。僕らはファンや友人のため、そして家族のためにプレーしているからね。見ての通り、ウチの子供たちはいつもそうしているようにヤンチャな感じでやってくれた。うれしくて泣きそうだったけど、すぐ試合開始だったから(笑)。子供たちに背中を押してもらった。みんなそれぞれの家族に支えられている。そのことを誇りに思える瞬間だった」

フレッド・バンブリートに至っては涙を流していた。「8週間か、もう9週間かな。こんなに長く子供たちに会わないのは初めてだから。僕を知ってる誰もが、僕にとって子供たちがいかに特別かは分かっていると思う。正直に言えば、娘と息子に会えないのはすごく寂しいんだ」

試合前に感動しすぎては、集中が妨げられることにはならないだろうか。「とんでもない、全く逆だよ」と指揮官ニック・ナースは言う。「私も信じられない感動で、息をするのも忘れて見入ってしまった。選手たちにエネルギーを与えてくれた」

この効果は抜群で、スタメンの選手たちの奮起で開始8分で2桁のリードを奪うと、そのまま一度も追い付かれることなく132-110で快勝している。離れていても、家族は選手たちを後押ししている。そのことが分かれば、どの選手もいつも以上の力を出せるものだ。