激しく点を取り合うシーソーゲームに
平日開催の千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダース。ニック・ファジーカスが帰化選手として初めて登録されたことで注目を集めた一戦は、そのファジーカスをオン・ザ・コート「1」で使える恩恵を生かした川崎が102-90の点の取り合いを制した。
川崎は前節の京都ハンナリーズ戦で右足関節を捻挫した篠山竜青が欠場し、藤井祐眞が先発出場となった。オン・ザ・コート数は互いに「1-2-1-2」を選択。これまで「2-1-1-2」を選択していた川崎だが、ファジーカスが帰化したことによってその顔ぶれは変わらない。
千葉がトランジションバスケットで速攻を繰り出せば、川崎は確率の高いミドルシュートをすぐに決め返し、序盤は互角の展開となる。
千葉1点リードで迎えた第2クォーター序盤、西村文男が立て続けに3ファウルを犯したことでリズムが狂い、6点のビハインドを背負った。その西村が汚名返上とばかりに2本の3ポイントシュートを決めて粘り、45-48とわずかなビハインドで前半を終える。
それでも後半に入り、ファジーカスの帰化の恩恵を受けた川崎が徐々にリードを広げていく。オン「1」の第3クォーター、ファジーカスともう一人の外国籍選手を起用できることによって、川崎はリバウンドで圧倒。オフェンスリバウンドで5-1と手数で上回った。残り6分にはオフェンスに専念できるようになったファジーカスの3ポイントシュートで点差を2桁に乗せた。
千葉の攻勢ムードを断ち切った辻の4点プレー
千葉は富樫勇樹の高確率な3ポイントシュートとギャビン・エドワーズのインサイドでの得点で大崩れせず食らい付くが、大事な場面でのターンオーバーが出る。第3クォーター残り58秒、千葉が7点ビハインドの場面。速攻を止めるためファウルをした辻直人がアンスポーツマンライクファウルをコールされた。ところが、レオ・ライオンズのフリースローは1本の成功にとどまり、直後のオフェンスでは連携ミスからターンオーバー。ここで辻に3ポイントシュートを決められ、点差を縮める絶好のチャンスを逃した。
最終クォーターに入っても川崎のペースが続く。開始2分、積極的にゴールを狙う川崎はルー・アマンドソンのインサイドプレーで加点し、この日最大となる15点差にリードを広げた。
だが千葉は、ホームの6000人を超えるファンの前で無様な姿を見せられないとディフェンスの強度を上げる。約3分間川崎を無得点に封じ、富樫の3ポイントシュートを皮切りに11-0と走って、4点差まで詰め寄った。
それでも辻がファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める4点プレーで千葉の攻勢ムードを断ち切ると、2度のオフェンスリバウンドからファジーカスが難しいシュートをねじ込み、93-83と再び点差を2桁に戻した。この時点で試合の勝敗は決まった。スコアが示す通りハイスコアの点の取り合いは川崎の土俵であり、ディフェンスに重きを置く千葉本来のバスケではなかった。
デービスとアマンドソンが活躍する『帰化効果』
川崎の北卓也ヘッドコーチは「スタッツ的にはリバウンドの差だったかなと思います。102点なので、シュートが入って、ポイントポイントでうまくオフェンスが展開できたと思います」と勝因を語った。
また「機能したのはジョシュとルーじゃないでしょうか。ニックが出ることによって、彼らの強みが出たかなという試合だった」と言うように、デービスが11得点4オフェンスリバウンド、アマンドソンが6得点11リバウンド(6オフェンスリバウンド)と、特にインサイドの強さが目立った。
一方、敗れた千葉の大野篤史ヘッドコーチも「リバウンドが取れなかったので仕方ない点差だと思ってます」とリバウンドを敗因に挙げた。
千葉得意のトランジションオフェンスは有効だったが、今シーズン2度目の100失点オーバーを喫したように、カウンターで速攻を浴びるシーンも目立った。「ボールを止めなさいというところと、スマートファウルをしっかりしなさいというところを伝えていたんですけど、最初のほうにファウルがかさんでしまって、ボーナスを与えるシチュエーションになってしまった」とディフェンス面に課題を残した。
チャンピオンシップ前哨戦と位置付けられた注目の一戦は、川崎に軍配が上がった。だが「どちらもチームの良さを出そう、強さを出そうという負けたくない気持ちがぶつかった良いゲームだったと思う」と大野ヘッドコーチがコメントしたように、実力伯仲のチーム同士の熱戦は見ている者を熱くさせたことだけは間違いない。
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