26得点13リバウンドで京都撃破の主役に
4月27日、川崎ブレイブサンダースは本拠地とどろきアリーナで京都ハンナリーズと対決。終盤までもつれる展開となったが85-80と競り勝った。勝利の立役者となったのは大黒柱ニック・ファジーカスで、いつもの安定したパフォーマンスで26得点13リバウンドをマークした。
そしてファジーカスといえば昨日、日本国籍への帰化が発表されたばかり。試合後のヒーローインタビューでそのことについて触れられると、ファンから大きな拍手が巻き起こった。
「まだ今日は外国籍選手として出場していたので、今日は何も変わらなかったです」と語るファジーカス。ただ、「申請をしたのは昨シーズンが終わった直後で、官報に載っているとマネージャーから連絡を受けた時はとても達成感を感じました。うれしかったです」と帰化申請が通ったことには感慨深い思いがあった。
「誰かに頼まれたことはなかったです。自分から帰化しようとクラブ、家族と相談して、それで決断しました。家族は自分が帰化したいという気持ちが強いということが分かっていて、最初からサポートしてくれました」
また、帰化となったことで当然のようにファンが期待する日本代表については「もし代表に呼ばれた場合、日本代表としてプレーするのは光栄だと思いますので、日本代表で頑張りたい」と続けている。
「東芝としてこれが最後、残念な気持ちが強い」
とはいえ、今のファジーカスはあくまで川崎での戦いに集中している。今回が東芝を母体とするラストのホームゲーム2連戦であり、東芝への愛着はそれこそ生え抜きの日本人選手と同じように持っているのだ。
「東芝は、会社として自分のことを歓迎してくれて、最初から良くしてくれていろいろとお世話になりました。DeNAが新しいオーナーになることはうれしいですし、これから前向きに考えていきたいです。ただ、東芝としてこれが最後ですので、今はやっぱりちょっと残念な気持ちの方が強いです」
今節は登録の関係上で無理だったが、今後ファジーカスは帰化選手としての出場が予想される。チャンピオンシップに向けて、川崎にとって大きな戦力アップで、他チームにとってはこれ以上ない脅威である。ただ、川崎の北卓也ヘッドコーチは、そんな単純な話でもないと気を引き締めている。
「もちろん戦力はアップし、非常に強力な引き出しを手に入れたと思います。ただ、チームはゲームをたくさんやってきて良くなる部分がたくさんあります。機能するかどうかは、まだやっていないので分かりません」
「どことマッチアップしても楽な相手は絶対にない」
北ヘッドコーチは「チームで戦うことを一番にしないといけない」と続ける。「他のメンバーもニックが帰化したからこそ、もっとアグレッシブにプレーしてチャンスメークをしないとしていく。一人ひとり自覚と責任を持ってプレーしないとニックに負担をかけるだけです。また、鎌田(裕也)、野本(建吾)と今まで戦ってきて自信にもなっていますし、良いユニットになっています。そこも強みとして色々なバリエーションがもう少し引き出せる。時間がない中で、できること、できないことを精査してより強みを出していけたらと思います」
そしてファジーカス自身は、「どことマッチアップしても楽な相手は絶対にないです。もし、優勝したいんだったら、どこかで強い相手と対戦します。我々はチャレンジャーとしてそれを楽しみにしています」と、意気込みを語る。
果たして川崎のリーグ制覇に向け、ファジーカスの帰化は大きなプラス材料になるのか。これからの見逃せない注目ポイントなってくるはずだ。