文=泉誠一 写真=B.LEAGUE

昨シーズン、セミファイナルはいずれもホームチームが勝利

Bリーグは続々とチャンピオンシップ出場クラブが決まり、残るは中地区2位の枠だけとなった。しかし、三地区間による勝率によって振り分けられるトーナメントの組み合わせはまだ確定していない。ホームコートアドバンテージを確保するためにも負けられない戦いは最後まで続きそうだ。すでにシーホース三河と琉球ゴールデンキングスはクォーターファイナルのホーム開催権を確保したが、さらに勝率を伸ばす必要がある。昨シーズン、ファイナルに進出したクラブは、いずれもセミファイナルをホームコートで戦っていた。

ある日のBリーグ会場にて、アウェーベンチ裏を陣取っていた知人を発見。そっち側のファンかと問えば、「何を言ってるの? 100%ホームが基本でしょ」と諭される。確かに、狭いアリーナで繰り広げられるバスケはそっちのスタイルを求めていこう。

NBAのアリーナには『アウェーファンの区画』がない

歴史ある日本のプロスポーツは、いずれもアウェーファンを迎える用意ができている。Jリーグでは敵チームベンチ側ゴール裏にサポーターがこぞって乗り込んでくるから、ホームよりも声援が大きいことがしばしば見受けられる。プロ野球に至っては1塁側と3塁側で真っ二つに分かれ、それぞれ攻撃時のみ交互に応援するスタイルが確立されている。7回表には敵チームの応援歌が流れ、「どうぞ応援してください」というアナウンスさえある『おもてなし』ぶりだ。

Jリーグやプロ野球のような何万人も収容可能なスタジアムの場合、アウェーファンを取り込まなければなかなか埋めるのが難しい部分もある。しかし、5000人や1万人程度のアリーナスポーツは、地元ファンで埋め尽くすことだってできるはず。Bリーグよりも早く、海の向こうのNBAはすでにプレーオフが始まっており、観客席はチームカラーで染められている。

全席指定のNBAではアウェーファンが集うような区画は設けられていない。といってアウェーファンがいないわけでもない。ホームのファンの間に違う色がたまに紛れ込んでいる。以前、ステイプルセンターでそんな『みにくいアヒルの子』状態を経験した。当時はまだドアマット状態だっただけに、我がウィザーズは大差で敗れ、レイカーズファンから情けをかけられたものだ。遠征してくる敵チームやそのファンにとって、居心地を悪くすることこそがホームコートアドバンテージであることを身をもって経験した。

勝利を呼び込む100%ホームのプレッシャー

昨シーズンのチャンピオンシップセミファイナルはいずれも2戦で決着がつかず、5分ハーフの第3戦までもつれこんだ。赤く染まったとどろきアリーナには大歓声が轟く。ブレックスアリーナはワンプレーごとに会場が揺れた。いずれもホームチームが制してファイナルへ進んでいる。

レギュラーシーズンも残り5試合しかない。チャンピオンシップ出場を決めたクラブは、最高の形で優勝へ向かって駆け上がるためにも、この週末から『100%ホーム』を目指してほしい。アウェーと書かれていても、臆することなくその席を地元ファンが埋めることで敵チームの歯車を狂わすことができる。

この原稿を書いている今し方、トロントで行われていたプレーオフ1回戦の第5戦が終わり、我がウィザーズは勝ち試合を逃してしまった。ターンオーバーやシュートミスを引き起こした要因はラプターズのディフェンスだけではない。コートサイドや最上階から降り注がれる『100%ホーム』のプレッシャーによるものだと感じずにはいられなかった。次戦、ホームに戻ってやり返すしかない!

同じようにチャンピオンシップでは、チケットの席種にアウェーの表記を削除しよう。ホームチームが勝利するためであり、長いシーズンをともに戦ってきた地元ファンのためでもある。苦汁を飲まされた敵チームファンたちは環境改善を訴え、その声が高まることで、本来あるべきホーム&アウェー開催を手に入れられるかもしれない。

残留プレーオフ争いに巻き込まれているファンはなおさら『100%ホーム』でチームを叱咤する必要があるはずだ。ファンの声援が勝利を呼び込む大きな力であることだけは間違いない。