「ここで戦って勝つためにハードな練習をしてきた」

サンズは激闘の末にヒートを破り、これで『バブル』でのシーズン再開からの連勝を5へと伸ばした。

ヒートはジミー・バトラーを始め複数の主力選手が休養したが、それでもバム・アデバヨとタイラー・ヒーローがエネルギッシュなプレーを見せ、ダンカン・ロビンソンも持ち前のシュート力を発揮。さらには終盤の勝負どころでベテランのアンドレ・イグダーラがチームに勢いを与えて先行するサンズを猛追する。

残り4分23秒で105-96と先行していたサンズだが、一瞬マークが甘くなったのを見逃さないロビンソンのロング3ポイントシュートで、残り1分で4点差に詰め寄られる。このヒートに流れが傾いたこの場面でボールを託すのはもちろんエース、デビン・ブッカーだ。ブッカーをスクリーンに使ってアタックを仕掛けたリッキー・ルビオが、その後にフリーになったブッカーにパスアウト。ブッカーは落ち着いて3ポイントラインまでステップバックして、正面からのシュートを見事に決めた。

それでもヒートはあきらめず、ロビンソンが3ポイントシュートを放つ場面でファウルを誘い、フリースロー3本をしぶとく沈めて
残り31秒で1ポゼッション差に詰め寄る。

ここで再びチャンスを託されたブッカーは、距離を詰めるイグダーラのディフェンスを振り切って加速してフローターを放った。アデバヨが長い腕を伸ばしてブロックに行くが、これはゴールテンディングで得点が認められる。これが決勝点となり、サンズがヒートの猛追を振り切った。

西カンファレンスのプレーオフ最後の枠は、どこが手にするか読めない展開になっている。グリズリーズは何とか8位をキープできそうだが、『バブル』に来てからケガ人も出て勢いがあるとは言えない。プレーインに進む9位は今のところトレイルブレイザーズだが、その0.5ゲーム差にサンズとスパーズがつけている。その中で最も勢いのあるチームがサンズなのは間違いない。

もともと勝てていなかったサンズが、『バブル』では主力の2人であるケリー・ウーブレイJr.とアーロン・べインズを欠き、ここまで戦えるとは誰も予想していなかった。だが、彼ら自身は別だとブッカーは言う。

「僕らは過小評価されていたけど、ここで戦って勝つためにハードな練習をしてきた。このハイレベルな戦いの中でどうやって勝っていくかに集中して、準備をしてきたんだ。今みんなの調子が良いことは、僕にとっては驚きじゃないよ」

ブッカーはフィールドゴール26本中15本成功と、チャンスでボールを集められて期待に応え、35得点をマークした。だが、この試合ではマイカル・ブリッジズ、ディアンドレ・エイトン、キャメロン・ジョンソンも攻守にハイテンポなバスケットを遂行しつつ2桁得点をマーク。さらにはシックスマンのジェボン・カーターが3ポイントシュート6本成功を含む20得点と、ブッカーの脇を固めるタレントたちの活躍が光った。

ブッカーを中心に、サンズはこれまでのドアマットチームとは全く違う集団へと変化しつつある。このチームの挑戦があと3試合で続くのか、そこからさらに先へと続くのか。すべての鍵はブッカーが握っている。