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46分出場のレブロン、身を削りながら手にした勝利

3年連続でファイナルに進出しているキャバリアーズ。振り返れば過去3年はプレーオフ1回戦すべてを余裕で勝ち上がってきた。だが今シーズンは強い向かい風が吹いている。第3戦では前半終了時点でリードを17点に広げながら自滅で勝利を取りこぼし、下位シードのペイサーズに自信を与えてしまった。逆風の中で迎えた第4戦、キャブズはレブロン・ジェームズとシューターのカイル・コーバーの活躍で『1勝3敗』という最悪のシナリオを回避できた。

敵地でのシリーズ第4戦、キャブズは第3戦と同様に前半最大で16点にまでリードを広げていたが、後半に入るとオフェンスの流れが停滞する悪癖は変わらず、第4クォーター序盤までにペイサーズに逆転を許してしまう。そこからは一進一退の攻防。と、ここまでは第3戦と同じ展開だ。試合終盤にかけてシュート欠乏症に苦しんできたキャブズを救ったのは、ベテランシューターのコーバーだった。

91-93で迎えた第4クォーター残り3分48秒、レブロン、ケビン・ラブを経由し右コーナーでパスを受けたコーバーが3ポイントシュートを沈め逆転に成功する。外のシュートが決まることで、レブロンのリムアタックは勢いを増す。レブロンがレイアップをねじ込み、続いてトップ・オブ・ザ・キーで受けたコーバーがキャッチ&シュートで再び3ポイントシュートを沈める。そしてレブロンがボーヤン・ボグダノビッチに1対1を仕掛け、スピンムーブを織り交ぜたレイアップを決めて6点のリードを奪い、勝負を決めた。

試合後のインタビューでビッグショットを決める秘訣を聞かれたコーバーは「落ち着いてプレーすること。もう長いことバスケットボールをプレーしているからね。落ち着いて、自分を信じてやるだけ」と答えている。

2勝2敗でホームに戻るキャブズだが、まだ不安要素は多い。最大の問題点は、レブロンへの依存度の高さだ。1回戦にもかかわらず、レブロンはここまで1試合平均43分の出場となっている。これでは勝ち上がったとしても、ファイナルにたどり着く頃には満身創痍だ。

レブロンは試合後の会見で「今日はケブ(ラブの愛称)が序盤にファウルトラブルに苦しんだからプレー時間が増えてしまった。ただ、チームが自分を必要とする時間帯に備えて、エネルギーは残している」とコメント。しかし、この日のプレータイムは実に46分で、エネルギーを残す余裕があったようには見えない。身を削りながら目先の1勝を挙げているのが現状だろう。理想の形はチーム2位の得点力を持つラブがレブロンの負担を軽くすること。そしてコーバー、JR・スミスらシューターのステップアップだ。

第1戦はペイサーズが圧倒したが、第2戦からはボディブローの打ち合いのような様相を呈している。もがき合う両チームにとって、勝った方が王手をかける第5戦が持つ意味は大きい。