文・写真=鈴木栄一

「仲間を信じて、呼ばれたらすぐ行ける準備をしていた」

4月21日、栃木ブレックスは川崎ブレイブサンダースに75-64と快勝。前日の試合で大敗を喫したリベンジを果たした。終盤までもつれた中で、粘る川崎を振り切るのに重要な役割を果たしたのが喜多川修平だ。

この試合の喜多川は、ファウルトラブルに苦しみ第3クォーターまでは沈黙していた。しかし、勝負の第4クォーターに入ると、栃木1点リードで迎えた残り約6分半から3ポイントシュート、外角の2点シュートを連続で沈め、栃木が9連続得点で10点のリードを奪う口火を切った。

さらに6点差と追い上げられた残り1分14秒、再び9点差と突き放す3ポイントシュートを決めて勝利を決定づけるなど、第4クォーターで計8得点とここ一番での活躍が光った。

1勝1敗で終えた強豪対決を喜多川はこう総括した。「昨日と今日で本当にゲームの内容からして、両極端なゲームでした。どういうゲームをしたら自分たちが勝つチャンスが出てくるのか、1試合を通してまた再確認できた。これからはしっかり今日みたいな激しさを持ってやらないといけないです」

さらに第3クォーターまでファウルトラブルでベンチを温める時間が多かったにもかかわらず第4クォーターでビッグショットを決められた理由を次のように語っている。「仲間を信じて、呼ばれたらすぐに行ける準備をしていたのが良かったです。そして、試合が始まる前からファンの方が声をかけてくれていたことで勇気付けられました」

ファウルトラブルで図らずも見えた指揮官の信頼

チームは完敗だったが、前日も喜多川は3ポイントシュートを6本中3本成功。この日は4本中3本成功と、4月21日時点でリーグトップの3ポイント成功率41.3%を誇るシューターの実力をしっかり発揮した。振り返れば、シーズン序盤の喜多川はチームのシステムにもうまくはまらず。開幕してから10月終了時点での12試合で3ポイントシュートは30本中10本成功のみと、成功率、そして放つ本数ともに低調だった。

しかし、安齋竜三ヘッドコーチ体制になったチームで周囲との連携を深め、チーム随一の長距離砲として活躍している。そして、指揮官からどれだけ信頼されているのか、ファウルトラブルとなったことで図らずも垣間見えた。

第1クォーター、喜多川は残り約5分で2つ目のファウルを喫する。一般的なセオリーではここでベンチに下がるが、交代を告げられなかった。ここから30秒後、すぐに3つ目のファウルを犯したことでさすがにベンチに下がるが、2つ目の後でもコートに立ち続けたことに喜多川は「あそこで使い続けてくれたのは、信頼してくれていると思いました」と語る。

また、第3クォーター早々に4つ目のファウルを喫し、第4クォーターではあと1つのファウルで退場という中で約8分プレー。要所でのシュート成功とともに、タフな守備でも貢献した。この時について「ファウル4つだからと、自分がソフトにプレーしたら、そこから崩れてしまうと思いました。激しさがなくなるくらいなら、ファウルアウトした方がいいくらいの意識。もし、退場になったら味方を信じるだけと思っていました」という気持ちだったと振り返る。

強力インサイド陣を生かす意味でも喜多川の活躍は重要

「チームの勝利の部分に少しは貢献できたかな。あとはディフェンスで、駆け引きのところなど進歩していきたいです」

このように謙虚な姿勢を崩さない喜多川だが、今の彼が栃木に欠かせない一人となっていることは間違いない。一つの例としてここ1カ月、栃木は千葉と2試合、川崎と4試合、A東京と1試合対決しているが、この7試合において喜多川は1試合平均12.7得点、3ポイントシュート成功率51.3%をマーク。リーグ屈指の強力インサイド陣がより力を発揮するためにも、喜多川の要所での長距離砲がこれからの戦いに向けてより重要になってくるはずだ。