文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

リバウンドを多く許し自責の念

先週末、富山グラウジーズは栃木ブレックスに連敗を喫し、チャンピオンシップ出場が遠のいた。一昨日の第2戦、富山は第1クォーターに2桁のリードを奪ったが、栃木の強力センター陣の前にオフェンスリバウンドを支配され逆転負けを喫した。

「宇都(直輝)がいなかったので得点面が課題だったが、自分自身思うように得点が取れなくて残念だ」。そう漏らしたのは、この日12得点を挙げたサム・ウィラードだ。富山はチームのリーディングスコアラーである宇都が欠場し、特にオン・ザ・コート「1」の時間帯で苦戦を強いられた。

ウィラードは12得点の他に、9リバウンド4アシスト3スティールとオールラウンドに活躍した。それでも、「4点差で負けたということを考えると、もう少し得点が取れて、ディフェンスリバウンドが取れていれば、追いつけたし逆転できたかもしれない」とクロスゲームに持ち込みながら敗れたことを悔やんだ。事実、富山は3本しか取れなかったオフェンスリバウンドを栃木には22本奪われており、これが直接的な敗因となった。

たくさんの役割を求められるも「言い訳はできない」

ウィラードは外国籍選手としてインサイドで強さを見せるとともに、3ポイントシュートも打てる広いシュートレンジを持つのが特徴だ。当然、チームからは幅広い分野での活躍を求められている。

「何か一つだけ求められているのではなく、すべてのことをやっていかないといけない。得点、リバウンド、ディフェンスは特に意識している。それができなかったら言い訳はできないし、責任感を常に感じてプレーしている」

寡黙に映るウィラードだけに、その責任感がストレスにならないか勝手ながらに心配したが、「特別な責任感を持っているわけではない。やるべきことをただ実行していくだけだよ」と表情を緩めた。

勝敗を分ける、メンタルコントロールの重要性

第1戦では終盤にムービングスクリーンのオフェンスファウルをコールされ、追撃の芽を自ら摘んだ。そして昨日の第2戦ではアンスポーツマンライクファウルを2度、テクニカルファウルを1度コールされた。富山を指揮するミオドラグ・ライコビッチも「テクニカルファウルやアンスポーツマンライクファウルが多すぎた」と敗因の一つにジャッジへのアジャストを挙げる。

特に今シーズンは笛へのアジャストに苦労している傾向がリーグ全体的に見られるが、そうした判定も含めて対応していく力が求められる。「栃木は去年優勝したチームであり、そういった面でも学ぶところはある」とウィラードは言う。

富山は2試合連続でテクニカルファウルをコールされた。「我々は情熱的で熱い選手が多いので、そこで勝ちたいという気持ちが間違った方向に向いてしまう場面がある。でも彼らも悪気があってやっているわけではなく、そこはデリケートで難しい問題です」とウィラードはチームメートの気持ちを汲み取る。

ウィラードは以前の取材で、「コンスタントに感情をコントロールすることを意識している」ため、表情を変えずにプレーしていると明かしてくれた。残り7試合、富山がチームとしてもう一段階成長するには、ウィラードがチームのメンターとなり、メンタルコントロールの意識を浸透させられるかどうかがカギになる。