写真=Getty Images

互いの立場を認めつつ、リスペクトを忘れない2人

デリック・ローズとジミー・バトラーがともにブルズでプレーしていた当時、2人はダブルエースとしてチームを牽引した。あれから数年が経過し、ローズもバトラーも、今はブルズの選手ではない。そして、2人が置かれた立場は逆転した。

バトラーは昨年のオフにブルズからティンバーウルブズにトレードされ、新たなチームのエースとして迎えられた。ローズはこの2年間、ニックスとキャバリアーズで評価を上げられず、ティンバーウルブズに移籍。史上最年少でシーズンMVPに輝いたのは昔の話で、今のローズにはセカンドユニットの一人というポジションしか与えられず、来シーズンの契約を勝ち取るため、限られた出場機会の中で結果を残さなければならない。

立場の逆転について、ローズは『ESPN』に「苛立つことなんてないよ。僕たちはお互いに、キャリアで異なるステージを迎えている。ジミーはスーパースターで、自分は何とかしてリーグでの居場所を見つけようとしている段階だからね」と落ち着いたコメント。

「お互いの立場は分かっている。ジミーは素晴らしい選手だから、一緒にコートに立ったらアピールするよ。自分にはまだプレーできるだけの力があることを証明したい」と続けた。

ただ、バトラーにとってローズは今も尊敬する先輩。そのコメントを聞くと「デリックが俺に何かを証明する必要なんてない」と語る。「彼の気持ちや、どういう心境で試合に臨んでいるかは分かっている。今の彼が何を考えているかもね。彼はハードにプレーしている。正しいプレーをしてくれている。彼には彼のままでいてほしい。彼にできることをしてくれればいいんだ。自分のチームに彼がいてくれるのはすごくうれしい。正しいプレーをしてくれる存在だからね。彼が笑顔でいてくれるなら、俺もうれしいんだよ」

もし恩師トム・シボドーがヘッドコーチを務めていなければ、2人がウルブズで再会を果たすことはなかっただろう。しかし、どういう理由であれ、2人が再びチームメートになったのも何かの縁だ。ローズはレギュラーシーズン終盤になって出場時間も増え、与えられた役割を必死にこなしている。勝った方がプレーオフ進出という状況下で迎えたナゲッツとのレギュラーシーズン最終戦では、わずか11分の出場ながらベテランらしいプレーで勝利に貢献した。

14年ぶりにプレーオフに勝ち進んだウルブズが1回戦で対戦する相手は、西カンファレンス首位のロケッツ。苦戦は免れないという意見が多いが、第8シードが第1シードに一泡吹かせる姿を見てみたいと思うファンは少なくない。

チーム内の立場が変わったとしても、互いをリスペクトし合う関係性は変わっていない。エースのバトラーをローズが支え、アンダードッグのウルブズがロケッツに肉薄できるか、明日からのシリーズに注目したい。