終始ビハインドも「点差ほどのダメージはなかった」
4月14日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは敵地のアリーナ立川立飛でアルバルク東京と対戦。最大で22点のリードを許す圧倒的不利を、第4クォーターの猛攻で跳ね返し大逆転勝利を挙げている。
第1クォーター、違いに点を取り合う中で終盤に馬場雄大、竹内譲次の連続得点によってA東京が25-20とリードして終える。第2クォーターに入ってもA東京の優位は変わらず。前半だけで19得点を挙げたアレックス・カークの活躍に加え、さらにチーム全体でフリースロー18本中18本成功とミスなく決めたことで、51-35と大量リードで試合を折り返す。
スコアだけ見るとA東京が完全に主導権を握った前半だったが、一方で名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは違った考えだった。「前半から今週、練習してきたディフェンスがある程度はできていました。相手のフリースロー18本すべて成功、タフショットを決められたりしたことで点差は開きましたが、点差ほどのダメージはなかった。相手の流れが40分間続くことはない、我慢し続ければチャンスが来るからと選手に言い続けました」
だが、第3クォーターに入ってもA東京の流れは続く。残り約1分にはザック・バランスキーのシュートでA東京のリードは遂に22点にまで広がった。しかし、今日の名古屋Dはこの劣勢になっても精神的に切れなかった。
「今日はチーム全員でつかんだ1勝だった」
最終クォーター、クレイグ・ブラッキンズがこのクォーターで12得点を挙げるなどベンチメンバーの奮闘で流れをつかむと、A東京の拙攻にも助けられ、残り22秒にはこの試合20得点のジャスティン・バーレルの得点で91-92と1点差に迫る。
名古屋Dは直後にファウルゲームを仕掛け、残り12秒でA東京は安藤誓哉がフリースローを得る。この試合、ここまでA東京はチーム全体でフリースロー23本中23本成功、また安藤もフリースロー成功率80%と得意な選手であるが、ここでまさかの2本連続失敗。
こうして迎えたラストオフェンス、名古屋Dは笹山貴哉とバーレルという最も頼りになるコンビによるオフェンスから笹山がシュート。これは外れるが、オフェンスリバウンドをつかんだ船生誠也が押し込みんで、残り0秒6で逆転した。
第4クォーター残り3分からは12-0のビッグランで勝利をつかんだ名古屋Dの梶山ヘッドコーチは、「後半は荒い波がありましたが、何よりもベンチメンバーが本当に良い流れをもってきてくれました。最後はJB(バーレル)、笹山、船生が締めてくれ、試合に出ていない選手もベンチで一緒に戦い今日はチーム全員でつかんだ1勝だったと思います」と総括している。
そして、本日17得点6リバインド4アシストで逆転劇の立役者となった笹山は、「結果として勝てたことはうれしく、次のステップに進める試合」と語る。ただ、最後の場面でシュートを外したことについて、「僕がゲームを決め切る力を持っていなかったのを船生だったりチームメートが助けてくれました。個人としては絶対にあれは決めないといけない」と、反省も忘れていない。
欲しいのは連勝「まずは我慢比べだと思っています」
一方、痛恨の敗北となったA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、1カ月前からの課題が今日も出てしまったと言う。「このところ安定感を欠いてしまっています。途中でプレーがソフトになって相手に簡単に点数を許してしまう。ここ4週連続で試合途中20点など大きくリードしながら、最後クロスゲームになっていました。それでもなんとか逃げ切れていましたが、今日は同じような展開で敗れてしまいました」
また、試合終盤、安藤の単発のアウトサイドシュートが連続で外れるなどここ一番でA東京らしくない淡白なオフェンスで終わってしまった点については「もっとピック&ロールを使って相手のディフェンスを崩してからシュートにいきたかった場面でしたが、最終的にはオフェンスがスローダウンし、ボールがうまく回らなかったです」と振り返る。守備で失った本来の激しさが、オフェンスにも悪影響を及ぼしてしまった。
名古屋Dは今日の勝利で26勝26敗としている。明日も勝って貯金を作ることができれば、チャンピオンシップ進出へ大きな弾みとなる。そのために笹山は、次のように意気込みを語る。「まずは我慢比べだと思っています。相手のオフェンスが決まっていく中でも、全員がサボらないでやるべきことを徹底する。今日は一つのリバウンドに仲間3人で取りに行っている場面もあって、そういう部分がどこかで良い方向に向いていくと思うので明日も続けていきたいです」
地区優勝に向けて連敗は絶対に許されないA東京が意地を見せるか、明日の試合は両チームにとってより大きな意味を持つ一戦となるだろう。