文=丸山素行 写真=B.LEAGUE
桜木を中心に盤石な試合運びを見せる三河
シーホース三河vs島根スサノオマジックの第1戦。最大20点のリードを奪うも猛追された三河だったが、主力が結果を出し93-91でどうにか逃げ切り勝ちを収めた。
オン・ザ・コート数は三河が「1-2-1-2」、島根が「2-1-1-2」と前半に差が生じた。立ち上がり、ターンオーバーから連続でワンマン速攻を繰り出した三河が先行する。一時は島根が踏ん張るも、比江島慎の2連続バスケット・カウントで流れをつかむと、桜木ジェイアールが外から、コートニー・シムズがインサイドでそれぞれ9得点を挙げ、30-22とリードして第1クォーターを終えた。
オン・ザ・コート数が入れ替わった第2クォーター、島根ディフェンスはオン「2」の三河のインサイドを警戒しダブルチームに来るが、三河がインサイド攻めに固執せず、インサイドアウトでノーマークを作り、村上直と西川貴之が2本、松井啓十郎と橋本竜馬が1本と、3ポイントシュート攻勢でリードを2桁に乗せた。
後半に入っても三河の流れは変わらない。オン・ザ・コート「1」の場面で、島根は桜木を止められない。桜木はこのクォーターだけで12得点4アシストを記録した。残り35秒、狩俣昌也の3ポイントシュートが決まり、81-61とこの日最大のリードを奪った。
主力を引っ張り出した島根の粘り
勝負は決したかに思われたが、島根が最終クォーターで怒涛の反撃を見せる。主力をベンチに下げた三河に対し、積極的にダブルチームを仕掛け、ターンオーバーを次々と誘発して得点につなげていく。アグレッシブなディフェンスから流れを作った島根は、この日絶好調のアル・ソーントンと相馬卓弥が内外から得点を積み重ねる。
三河は10点差に戻されたところで橋本を、5点差とされたところで比江島をコートに戻すが、悪い流れを変えられず、ついに残り4分を切った場面で桜木と金丸をコートに送り込んだ。それでも島根の勢いは本物でソーントンがこの日38点目となるジャンプシュートを沈め、89-91と肉薄した。だが残り1分59秒、桜木が決め返すと、4点差のまま守り合いが続いた。
残り9秒、佐藤公威のミドルシュートで再び2点差と迫るが、三河はファウルゲームを仕掛ける島根ディフェンスをパスワークでかわし、フリースローを与えることなく逃げ切った。
桜木「4クォーターにリラックスしてしまった」
勝利した三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「今日は出だしから良いオフェンスが全体的に40分通してできた」と93点を奪ったオフェンス面に関しては満足したが、「島根さんの気迫、特にリバウンドに対しての執着心がすごかったので、リードしても油断しないでディフェンスやリバウンドをしっかりやらないといけない」と終盤に追い上げを許した点を反省点に挙げた。
25得点8アシストと存在感を見せた桜木は「4クォーターにちょっとリラックスしてしまったところがあった」と指揮官と同様に試合の締め方を反省したが、今日の試合で通算500アシストを達成し、「自分もチームメイトも自分のパスを楽しんでくれているので今後も続けていきたいと思います」と喜びを語った。
一方、敗れはしたものの粘り強さを見せた島根、鈴木裕紀ヘッドコーチは「オフェンスリバウンドで三河さんが6、ウチが16ということで、そこを取らせず粘り続けられたことが、最後大きな波につながった」と終盤の反攻を振り返る。
ジョシュ・スコットと渡邊翔太をケガで欠きながら、ソーントン(38得点)と相馬(27得点)がシーズンハイのパフォーマンスを見せ、リーグ最高勝率の三河を相手に接戦を演じられたことはプレーオフに向けて一つの自信になったはず。
三河はセカンドユニットが機能せず、この先のチャンピオンシップでの戦い方に不安を残す結果となった。残留プレーオフとチャンピオンシップ、それぞれ戦う舞台は違うが、この先を見据える上でも明日の第2戦は修正力が問われることになりそうだ。