最悪の時期は脱し、チーム状態は上向きに
ストークスの今季の外国籍選手は、シーズンの開幕ロスターに顔を並べたに3選手中2人がケガなどのため入れ替わった。ドゥレイロン・バーンズは開幕時から唯一、不変の存在。チームの中心の一人である彼が、ここまでのストークスの戦いを振り返る。
「なかなか勝てない理由を一言で答えるのは難しいけど、その一つには今までB1でやっていたチームと僕らとでは、経験の差があると思う。昨季もB1にいたチームはリーグのプレースタイル、タフさを知っている。だけど僕らは、B1に上がって1年目。今季はチームとしてどう戦うべきかを、1試合ごとに学び続けながらやっている状態だ。それにB1とB2では、戦い方が違うとも感じている。B1の選手はみんなスピードがあるし、身体も大きくて強い。最初はそれに対応できなくてリズムを乱してしまった。ここまでの結果は、経験の浅さが大きく表れてしまっているんだと思う」
チームは序盤戦こそ白星をつかむ試合もあったが、昨年の11月ごろから調子を崩し、今年の1月末から3月末にかけては、まさかの15連敗。
「負けが込んでいた時期は正直、チームの雰囲気は最悪だと感じていた。だけど勝ちもしたし、3月末からは良くなってきた。コート上でジョークもたくさん出るようになってきたし、今はチームのムードに問題はないよ」
3月25日の滋賀レイクスターズ戦に勝利して連敗を止めると、4月1日には島根スサノオマジックからも白星。バーンズが言うとおり、チーム状態は底を脱した。それがなされたのは、後半戦になって新加入したキャメロン・リドリー、ハーバート・ヒル、それに岡田優がチームとのフィットを高めてきたことも、少なからぬ要因だ。
「これまでと大きな違いは、今はビッグマンが2人揃っていて、インサイドでポストプレーが上手くできていること。以前はどうしても中に入る選手が少なくて、外からの攻撃が多くなっていた。今はキャム(リドリー)とハーブ(ヒル)がインサイドでしっかりプレーしてくれるので、ノリ(道原紀晃)や岡田(優)、僕が安心して外から攻めていける。そこが大きく変わった点。これまでのチームは安定感を欠いていたが、今は良い状態をキープしつつある」
ヒル「残留プレーオフだけにフォーカスしない」
シーズン途中から加わったリドリーとヒルも、実戦をこなしていくうちにストークスの戦い方を身に着つけてきた。2人は自分たちが加入したことで、チームに前向きな変化が表れていると感じている。
「僕らが入ったことで、ポストプレーなどインサイドのプレーが強くなった。チームに必要なポジションで、上手く機能していると思う。滋賀と島根に勝ったことが何よりの証拠だよ」(リドリー)
「ここに来るまでにいたFイーグルス名古屋(FE名古屋)は、速ければ速いプレーと、ずっと同じプレーを継続するようなスタイルだった。だけどストークスは速いプレーも遅いプレーもあるし、インサイドでもアウトサイドでもプレーする。いろんな展開があるので、それに戸惑ったこともあったけど、今は随分と慣れてきたよ。ストークスではタフなゲームが続いているけど、勝てそうなゲームもあったし、勝ったゲームも含めて良くなってきている。僕らが来たころと比べて、チームは良い方向に進化しているよ」(ヒル)
昨季は広島ドラゴンフライズに在籍したリドリーは、シーズン序盤にアキレス腱を断裂。そのままシーズンを棒に振り、ストークスに加わるまではどのチームとも契約がない状態だった。一方のヒルは今季をFE名古屋でスタートしたが、納得のいく出場機会が得られていなかった。2人はバスケットボールに飢えていた自分たちを救ってくれたストークスに忠誠を尽くし、チームのB1残留に粉骨砕身することを誓う。
「こんなに負けていて、自分がブースターならもう見に行かないよ(笑)。それなのにいつも多くのブースターの方が会場に足を運んでくれて、すごく感謝している。チームのB1残留のためには、自分のできることを一生懸命にやって、周りの選手とマッチしてプレーすることが重要。こうやって復活できる、バスケができるチャンスをくれたクラブ、そして熱心に応援してくれるブースターの皆さんのために、全力を尽くすよ」(リドリー)
「アウェーに行っても、必ずストークスのブースターがいるんだ。あれには驚いたよ。そうやって熱心に応援してくれる方のためにも一生懸命に練習して、とにかくB1に残る。それが僕らの使命だ。これからは残留プレーオフだけにフォーカスせず、自分たちがその日にやらないといけないことに集中するべき。そうすることでみんなが集中を高めていけば日々、必ずプラスになることが起こる。その連続で毎日の練習に取り組んでいけば、間違いなく目標は果たせるはずだ」(ヒル)
リドリー「ミスを減らして、リバウンドを取る」
目標がB1残留と明確に定まり、シーズン終盤を迎えてチームの一体感は日に日に増してきている。
「これまではどこに目標を置くのか定め切れなかったけど、今は目標がはっきりしている。負けても勝っても、試合の後は何が良くて何が悪かったのかを、いつもロッカールームで話し合っている。反省して次につなげる姿勢があるんだ。全員が同じく正しい道を進んでいて、それはまだ道半ばかもしれないけど、良いところにいるよ」(バーンズ)
レギュラーシーズンは残りわずか。そのあとに待ち受ける残留プレーオフを勝ち抜くには、後半戦になって新しくなったチームの完成度を急ピッチで高めないといけない。
「今後の改善点は、やはりディフェンスだね。チームとしてそこがしっかりできれば、今まで以上にパフォーマンスが良くなってくる。ディフェンス力を高めるには、選手間のコミュニケーションをもっと向上させないといけない。プレー中に良いコミュニケーションを図ることが、僕らの最大の課題だ。それを円滑にするためには、本来なら何カ月という時間が必要。だけど今のチームは昨季からもいる選手が多いので、このシーズンの最後のほうには必ず上手くいくと信じている」(バーンズ)
「ストークスがここまで勝てなかったのは、ミスの差だと思う。B1でいい成績を残しているチームは、ターンオーバーや単純なキャッチミスも含めてミスが少ない。僕らはミスが多いうえにそのあとの修正も遅く、そこをつけ込まれて失点を重ねてしまう。勝つためにはターンオーバーなどのミスを減らして、リバウンドをたくさん獲る。それに尽きると思う。今のチームの良くない点を修正するために、努力し続けるしかない」(リドリー)
「今キャムが言ったようにターンオーバーをせず、頑張ってリバウンドに向かわなければいけない。それと気になるのは、いつも自滅していることなんだ。3つ連続でシュートを入れても、次に4つ連続で返されたりする。自滅型になっているところをなくせば、勝てるチャンスは充分にある」(ヒル)
キャプテン・バーンズ「B1残留には全員の力が必要」
昨季は途中入団ながらB2優勝に大いに貢献し、今季はキャプテンの肩書きを背負うバーンズは、これからのシーズン終盤で、リーダーとして自分がすべきことをこう語る。
「自分の今までの経験を、チームメートに伝える。そうすることで選手たちのモチベーションを高めて、チームに変化を起こす。それが自分の最大の役割だと思っているよ。残留であれ優勝を争うのであれ、昨季のようにプレーオフで1位になる。それをみんながしっかり思い出してプレーすれば、勝ち抜けるはずだと信じている。勝ち抜くために必要なのは、強い気持ち。プレーオフに向かって自分自身が今、それを作っているんだ」
そして最後にバーンズが、力強いメッセージをブースターに送ってくれた。
「今までにいたチームの試合会場は、家族で来るような雰囲気ではなかったけど、ストークスのホームゲームは家族連れも多い。すごく温かいムードで、ホームでプレーするのが大好きなんだ。毎回こんなタフな状態でも一生懸命に応援してくれるのには、いつも感謝している。みんなが来てくれるから、『やるぞ』という気になれるんだ。これからも会場で応援してもらえたら、とてもうれしい。僕らが目標を達成するためには、ブースターのみなさんの力が絶対に必要だ。みんなで、B1残留を勝ち取ろう!」
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