「今の盛り上がりは営業的にはありがたいチャンス」
──では、この先にもっとこうしていきたい、こうあるべきだ、というものは何ですか。一業種一社と考えても、まだ自動車であったり飲料であったり、バスケのパートナーになってほしい企業はたくさんあると思います。
まずはベースとして、バスケファンをもっと増やすことです。Bリーグに若いファンが多く、八村選手のNBAの活躍で盛り上がっているとは言え、野球やサッカーと比べてボリュームはまだまだ足りません。最大のミッションはバスケが好きな人、バスケに関心を持つ人を増やすこと。そしてファンの皆さんとの接点をもっと整備していくことです。例えば『スマチケ』のアプリを使えばファンとのコミュニケーションが取れますが、それは試合に来る人にしか使われていないので、プラットフォームを増やしてサービスも増やし、またファンも増やしてMAU(月間アクティブユーザー)やDAU(1日あたりのアクティブユーザー)を伸ばしていきたいです。
またソフトバンクさんのプラットフォームである『バスケットLIVE』も非常に重要です。試合の入場者数は増えていますが、さらにテレビや配信で『バスケを視聴する文化』を作って接点を増やしていけば、バスケットの価値も上がります。
もう一つはパートナーのスピード感に合わせてソリューションを提案する企画力です。ここはまだまだエージェンシーともディスカッションしながらやっているところで、スポーツ以外のことも学びながら経験値を上げて、パートナーに応えるソリューション力のベースを高めなければいけません。極端な話、10社が「パートナーをやりたい」と手を挙げてくれても、今の我々に対応する力がありません。そこは新規の開拓とソリューションを作っていく計画を立てながら、地に足を着けてやっていきたいです。
──新型コロナウイルスの影響でスポンサーが降りる心配はありませんか?
新シーズンで言えばソフトバンク様を始め、これまでサポートしていただいている企業様にはサポートを続けていただいており、本当に感謝しています。今後を考えるとコロナの影響が業界ごとに異なるので、我々が攻めるべきところを、例えばもう少しデジタルに寄せていくなどの検討は必要だと思います。それでも数社からお声掛けをいただいています。
──来年ちゃんと開催される前提での話になりますが、東京でのオリンピックはバスケファンを増やす千載一遇のチャンスになります。これはスポンサーを増やすという点でも大事ですよね?
スポンサーシップ的にはもちろん大事です。ただ、私はそもそもBリーグに来た時から「オリンピックには出場できないかもしれない」と想定して事業をしてきました。言い方は悪いかもしれませんが、神風に乗るのではなく、しっかり地に足をつけて筋力、体力をつけるべきです。そういう意味ではオリンピックにもあまりとらわれずにやっていくつもりです。
もちろん、このチャンスは大事にしたいですし、いろんな企業にバスケットボールを見て興味を持ってもらいたいです。どのパートナー様も最初のアプローチは「会場に来て、バスケを見てください」でした。そこで盛り上がりを見てもらい、面白さを感じてもらうことで「ここでイベントをやったら盛り上がりそうだよね」と感じてもらえます。少し前だとお声掛けしても「忙しいから行けない」と断られることもありました。それが今のバスケだと「是非見てみたい」となりますから、そういう意味では今の盛り上がりは営業的にはありがたいチャンスです。
──佐野さん個人として、バスケ界に入って4年間仕事をして『楽しい』ですか?
個人的にはコンサル時代からクライアントの課題を解決する『ソリューションプロバイダー』として経営改革、事業改革をサポートしてきました。そういう意味ではスポーツの世界に来たんですけど、スポーツをテーマにコンサルをやっている感じです。楽しいですかと言われると楽しいですが、私はコンサルの時からずっと仕事が楽しいんです(笑)。
──では最後に、普段はスポンサーやパートナーに向き合っている佐野さんから、バスケファンに伝えたいことはありますか?
私がすごく大事にしていることは、パートナーのため、ファンのため、クラブのため、この3つが成り立たないとダメだということです。パートナーのためになることでもファンの皆さんに楽しいと思ってもらえなくては、ブースに来ていただけなかったり、印象に残らなかったりするため、結局はパートナーの満足度に繋がりません。だから我々はファンの皆さんに喜んでもらえるものをパートナーと作っていくというチャレンジをしていきたいです。皆さんがワクワクするような企画をどんどん提供していくつもりなので、是非これからもBリーグに注目してください。