文=立野快 写真=FIBA.com

河村勇輝と田中力のボールプッシュで韓国を翻弄!

U-16アジア選手権3日目、U-16日本代表は韓国代表と対戦した。ともに連勝して臨んだグループ首位決戦は、激しいトランジションゲームからスタート。両チームが走り合う展開の中、日本は前試合のインド戦でチームハイの27得点を挙げた富永啓生の3ポイントシュートで初得点。ここから横地聖真を中心とした攻めを展開し、開始5分で10-2とスタートダッシュに成功する。

しかし、その後はアウトサイドシュートが決まらない。199cmのセンターのサイズを生かしたハーフコートバスケットで主導権を奪い返そうとする韓国に対し、日本は足を使った激しいディフェンスを保ち、第1クォーターの失点をわずか8得点に抑えて16-8とリードした。

第2クォーター、富永の3ポイントシュートと田中のドライブで幸先の良いスタートを切るが、ここから韓国のゾーンディフェンスにリズムを狂わされ、ディフェンスでもオフェンスリバウンドを立て続けに奪われて0-15のスコアリングランを食らい、21-25と逆転される。

それでも、ここで悪い流れを変えたのは河村勇輝だった。小気味良いドライブで流れを呼び戻すと、残り6.9秒、華麗なドライブからバスケット・カウントをもぎ取る。ボーナススローも決める3点プレーを決め、28-27と日本が再逆転して前半を終了した。

試合終盤の勝負どころで河村がビッグプレー連発

第3クォーターは韓国にリバウンドを拾われて3ポイントシュートを決められる苦しい展開ながら、本領を発揮し始めた田中のドライブで食らいつき、田中や河村のパスに三谷桂司朗が合わせ点数をつなぎ、52-53と1点ビハインドで最終クォーターに入った。

第4クォーターも引き続きインサイドを強調する韓国の攻めに苦しみながらも、日本は河村のボールプッシュを中心とした速い展開とドライブで攻め立て、激しい点の取り合いとなる。

この試合、チームハイの17得点を挙げた田中の6連続得点でリードしたラスト1分40秒、この勝負どころで韓国ディフェンスにヒビを入れ続けた河村が試合を決める。ディフェンスリバウンドからコートを縦断するとそのままレイアップを沈めてバスケット・カウント。70-65とリードを広げ、さらに残り48秒、オフェンスリバウンドを取るために人数をかけた韓国に対して競り負けることなく、ルーズボールをもぎ取った河村がそのままワンマン速攻に持ち込み、72-65と突き放す決定的な得点を奪った。

韓国守備陣は最後まで河村のドライブを止められなかった。その後、試合の閉め方にやや課題はあったものの、ファウルゲームのフリースローを田中と横地が決めきり、最終スコア76-73で競り勝った。

全員が貢献したチームディフェンスの勝利

ファストブレイクポイントは14-5、ターンオーバーからの得点は16-6と、日本のスピーディーなバスケットが光った。それでも力の差を見せ付けての快勝ではなく、何度もあった苦しい時間帯を耐えて最後に流れを呼び込んで、クロスゲームをモノにしている。

サイズがある上にボールへの執着心も見せた韓国に対して一歩も引かず、身体を張って戦い続けた精神的なタフさもまた目立った好ゲーム。ベンチスタートながら間違いなくエースとなっている河村と田中が要所で大仕事をしたと同時に、韓国のインサイドを強調した攻めをダブルチームで封じるなど、出場選手全員が貢献するチームディフェンスの勝利でもあった。

これで日本は開幕3連勝で予選グループ1位通過を決め、ベスト8に進出。今日は休養日となり、明日にフィリピンvs香港の勝者と準々決勝を戦う。