16得点10リバウンド6ブロックの大活躍
昨年のドラフト全体44位指名を受けたナゲッツのボル・ボルが、『バブル』のコートで大きなインパクトを残した。
ウィザーズとのスクリメージ(練習試合)で先発出場したボルは、32分13秒の出場で16得点10リバウンド6ブロックの大活躍。221cmという長身と伸びやかな動きは、ナゲッツのビッグラインナップの中でもひときわ目立った。八村塁のジャンプシュートを長い腕で叩き落すブロックショット、ユーロステップからのレイアップを外すも自ら押し込むダンク、ブロックショットからそのまま持ち上がっての3ポイントシュートとオールラウンドな働きを見せた。
元NBA選手のマヌート・ボルを父に持つボルは、本来ならドラフト上位で指名されるべき逸材だった。しかし、左足の疲労骨折が原因で大学時代は9試合の出場に留まったこともあり、上位指名権を保持していた球団から指名を見送られ、44位指名まで待たされることになった。
注目はされていたものの、シーズン中断までNBAでの試合出場はなし。それでも新型コロナウイルスの影響でこの時期までシーズンが伸びたことで、ボルにチャンスが舞い込んだ。「実力を証明し、ドラフトでの屈辱を晴らす上での第一歩となったか?」という質問に「そう願うよ」と笑った。
ボルが公式戦で実力を証明するには西カンファレンス上位のナゲッツでローテーションに入らなければいけない。今後の課題についてボルは「僕の弱点はスペーシング。だから今はゲームとスペーシングに関して学ばないといけない。適切なタイミングで、正しいポジションを取れるようにならないとね」と語る。
もちろん練習試合と公式戦は別物で、明らかに体格の細いボルは公式戦になったら激しい当たりを受けるだろう。ディフェンスもブロックは効いていたものの、ピック&ロールの対応が悪く、途中からウィザーズに狙い撃ちにされていた。これから1週間で弱点を克服することは難しい。弱点をどれだけカバーして、また長所をどれだけ発揮できるかが問われる。
それでもボルにとっては、ただのスクリメージの1試合ではなく、NBAでも通用するという自信をつかむきっかけになった、ポジティブな経験だった。それでも彼は「これまで努力してきたから、何も驚くようなことはなかった。とにかくナーバスにならないようにしたよ」と淡々と語った。貪欲に吸収する姿勢を持ち、努力を怠らないボルの今後に注目だ。