島田慎二

「各クラブがこれだけ攻めるとは正直思いませんでした」

──ビジネスだ理念だと難しい話が続きましたが、最後はBリーグのトップとして、10月に始まるリーグがどんなものになるか、ファンをワクワクさせる話をお願いします。

まずB2がさらに面白くなりますよね。やっぱり資金力を含めて力のあるクラブが増えてきて、B1でも戦えるような日本人選手、外国籍選手を獲得するのがここまで進んだのは初めてです。若手の特別指定選手を活用するケースも増えて、選手にとっては厳しいですが、それはプロとしての切磋琢磨だし、良い意味で突き上げられる状況が明確になるシーズンだと思います。

厳しくなる代わりに、その競争に生き残れば年俸も上がっていく。そのトップに君臨するのはますます簡単じゃないのですが、それはリーグの活性化を意味します。B2にもどんどん選手が流れていき、B2のチームがより魅力的になってきました。B2に移籍した選手も自分がダウングレードしたという認識ではなく、チームをB1に上げる立役者になるつもりであえてB2に飛び込む選手もいます。

これだけB2が活性化したのは正直言って驚きました。新シーズンは降格がなく、B2は上がるだけなので、少し守りに入るかと思ったのですが、攻めましたね。だからB2の試合の視聴環境も整えることを決定しました。カメラの台数を増やすことを含めてバージョンアップして、B2の魅力をもっと伝えたい。Twitterで思わせぶりなことをつぶやきましたが、本気で進めていきます。せっかくB2のクラブが攻めたのだから、私も攻めたい。B1に近いような観え方が形になれば、より魅力的に魅せられると思います。

──なるほど。それではチーム数が増えたB1はいかがでしょうか。こちらもコロナ禍にあってどのクラブも攻めています。

コロナの影響があまりに大きいので、経営破綻したり、そこまで行かなくても経営が苦しくなって選手やスタッフに不利益にならないようにとルールを整備したのに、各クラブがこれだけ攻めるとは正直思いませんでした。むしろ例年より攻めていますよね。

これはBリーグの中で、やはり勝ちたいと思うクラブが増えている。それはチームだけじゃなく、社長やオーナーのその思いが大きくなった結果だと思います。B1のクラブにある程度の規模感のオーナーが付くようになって、バスケ界のベースが上がったからこそ、今の時期でも攻めてきた。それは今回のコロナ禍を乗り越えるための重要なファクターです。これまではチームが頑張って競い合ってきましたが、これからはフロント、社長、オーナーの戦いにもなってくる。まだ完全にそうなってはいないですけど、そういう雰囲気が明確に出てきた最初のシーズンになるという気はしています。

──最後に、新シーズンの開幕をどんな形になるかハラハラしながら待つファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

基本的に会場に足を運んでいただいて開幕を迎えることを前提で私は進めています。安全対策はしっかりやりますので、来れる方は是非来てください。今はガイドラインを作って選手たちにも信じて戦ってもらえるように説明しています。しかし、PCR検査とか仕組みを作るのはリーグの仕事ですが、責任をもって行動を管理するのは選手自身であり、アリーナに来てくれる皆さんも体調管理をしっかりして、万全を期することが求められます。Bリーグがこの1シーズンをちゃんと遂行できるかどうか、バスケットボールファミリーみんなの意識にかかっています。

新型コロナウイルスの影響は大変なものですが、選手はシーズンの3分の1をカットされてプレーできることの喜びを知り、そのメンタリティはよりプロフェッショナルになりました。ファンの皆さんも会場で応援する喜びをあらためて感じていらっしゃるのではないかと思います。我々もコロナ禍での運営はしんどいけれど、テクノロジーに舵を切っていくことができました。そうやって結果として、このシーズンが今後の飛躍に繋がれば良いと思います。

選手は見せる人、ファンは見る人、じゃなくてバスケットボールファミリーとしてみんな一緒に、新シーズンも楽しみたい。そのためにも一丸となって乗り超えていきましょう。こういう時だからこそ、いつも以上にクラブと選手を応援してあげてください。