「バスケが社会にどれだけ良い影響を与えられるのか」
──2026年構想はあくまで手段であって、その先に実現したい未来がありますよね。それはどんなイメージですか?
バスケは日本で2番目に競技者人口が多く、過去にやっていた人も累計したらすごい経験人数がいるスポーツです。それでも長らく認知度は低くて強化も進まなくて、Bリーグができて少しずつ良くなっていますけど、やっぱり先々は日本社会にとってもっともっと良い影響を与えられる競技であり、競技団体になっていくべきだと思います。競技として強くならないとメディアに取り上げてもらえない、それでは投資も集まらなくて強化も進まない。結局は鶏が先か卵が先かになるんですけど、その中で社会にどれだけ良い影響を与えていけるのかは意識すべきです。
例えば選手が社会貢献として募金活動をするにしても、人気のあるBリーグの選手だからこそいっぱい集まります。バスケが弱くて誰も知らない競技であれば、街頭に立っても「知らないよ」で終わってしまう。クラウドファンディングだと、その影響力の差はよりはっきり出てきます。フェイズが上がれば上がるほど、そういうエネルギーも増します。
競技団体としてのBリーグが、競技としてのバスケットボールが、日本でもっと市民権を得て、みんなに愛されている、そういう状況が1ステップ、2ステップと上がっていき、大きな影響力、良き影響力を与えられる状況まで持っていきたいです。多分それは事業規模で言えばこれぐらいかな、観客動員数はこれぐらいかな、視聴者数だと今の10倍は必要だろうな、というイメージはあります。だから事業だけではなく、オールバスケットでどこを目指すのかの議論をまさにスタートさせたところです。まずは何が大事なのかの理念を明確にします。事業規模を大きくするとか、それは手段でしかないので。それを来年には発表したいと思います。
──ジェッツでもみんなの見えるところに『チーム理念』が掲げられていて、すべての行動指針になっていました。目指すべきところがはっきりしないと、手段もブレますからね。
どの観点から入るかで全然違うと思うんですよ。2026年構想も事業から入ったらクラブ数を絞る方向で再構築して、ハイレベルな試合すれば強化にも繋がるし、主力選手がメディアに出て人気も出そうだ、という見方になります。一方で先ほど話した地域社会でのプロスポーツチームとしての存在意義についても考えていかねばなりません。
どこがゴールで何を大事にしていくかが明確になっていないと、どちらを選択するかという状況で不明瞭になり、場当たり的になります。今までのバスケはそれが強かったと感じていて、骨太の目指すべき方向がぼやけていることに問題意識がありました。ここで話しているのはあくまで私の世界観ですけど、今まさにそのところを三屋さん(三屋裕子JBA会長)たちと一緒になって始めたところです。