文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

並里&狩野のホットラインで流れをつかむ

滋賀レイクスターズと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの対戦。第2クォーターで主導権を握り、その後も攻守が噛み合いリードを広げた滋賀が、82-66で名古屋Dに完勝した。

第1クォーター序盤、狩野祐介が4点プレーを含む2本の3ポイントシュートを沈め、ファイ・サンバが確率良くミドルシュートを決めて滋賀が先行する。名古屋Dは3本の3ポイントシュートをすべて沈め、11得点を挙げた張本天傑の活躍で追いかける展開に。

第2クォーターも互角の展開が続くが、並里成と狩野をコートに戻した残り6分半から試合が動く。素早い攻守の切り替えから並里がボールをプッシュして数的有利を作り出し、フリーとなった狩野が3ポイントシュートを連続で成功させて32-25と突き放した。

名古屋Dはタイムアウトを要請して立て直しを図るも、滋賀にタフショットを打たされ得点が伸びない。また前線からのプレッシャーに苦しみ、ジャスティン・バーレルがボール運びに加わったところでディオール・フィッシャーのスティールを許し簡単に失点するなど流れを取り戻せない。滋賀は、42-31と2桁リードでスタートした後半も堅守を軸にリードを広げていく。

反撃に転じたい名古屋Dだがボールムーブがうまく行かず、結局はバーレルの1on1に頼るしかなくなり得点が伸び悩んだ。ディフェンスで主導権を握った滋賀はうまくオフェンスへとつないで、名古屋Dとは対照的に多彩な攻めで8人が得点を記録。この第3クォーターで7-1とアシスト数に差が生じたことが、両チームのオフェンスのクオリティの差を表している。

「チームルールを守れば結果に結びついてくる」

攻守ともにパフォーマンスが落ちない滋賀は、並里がゲームをしっかりとコントロールし、フィッシャーがインサイドで確実に得点し、付け入る隙を与えない。残り3分を切っても20点差をキープした滋賀が名古屋Dを寄せ付けず、完勝を収めた。

勝利した滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「トランジションオフェンスの強いチームだと理解していたので、それに対しての守りが、今日はシーズンを通してベストの出来だった」とディフェンスでの勝利を強調。「しっかりとチームのルールを守ってやれば、こういった形で結果に結びついてくることを体現できた試合でした」と胸を張った。

5本すべての3ポイントシュートを沈め、チームに流れをもたらした狩野は「率直にうれしいの一言です」と素直に勝利を喜んだ。「泣いても笑っても40分しか戦える時間がない一方、40分しっかり戦えば勝利を手にすることができるので、ここ最近は『40分しかないよ』と声を掛けてから試合に臨むようにしています」と試合に対する意識改革が好調の要因だと明かした。

4カ月半ぶりに連勝を収めた滋賀。残留プレーオフに回る全体15位の大阪エヴェッサとは勝率で並んでおり、依然として崖っぷちの状態だが、今日のようなパフォーマンスが続けば残留は自ずと見えてくる。4月末には大阪との連戦が待ち構えており、ここにどんな状態で臨めるかが残留プレーオフを回避できるかどうかを左右することになるだろう。

敗れた名古屋Dはこれで3連敗。中地区2位争いのライバルも調子が上がらないことでチャンピオンシップ進出圏をキープしているものの、連敗している以上に内容が悪いのは気掛かりだ。シーズン終盤になりバーレルの身体が重い印象で、外国籍選手頼みのバスケットで一度悪い流れに陥ると抜け出すきっかけをなかなかつかめない。このままチャンピオンシップに進んだとしても、特定の選手に頼るバスケットから脱却しない限りは勝ち進むのは困難と言わざるを得ない。