「今までとは正反対のことをする、チームにフォーカスするんだ」
ジャズはルディ・ゴベアをきっかけにチーム内で新型コロナウイルス感染者が出て、図らずもNBAシーズン中断のきっかけとなった。エースのドノバン・ミッチェルも感染した一人で、その後の長い中断期間を通じて「ゴベアとの関係は修復できないのではないか」との憶測が出続けた。ミッチェルに次ぐ1試合平均20.2得点を挙げたボーヤン・ボグダノビッチが右手首の手術で離脱したのも痛い。
それでも、そのシーズン再開を前にミッチェルは静かに闘志を燃やしている。
「NBAでデビューしてからノンストップで走り続けてきたけど、今回初めてじっくりといろいろ考える余裕が持てた。たくさんの選手に質問をして、いろんな話を聞かせてもらった。それは僕が自分自身を見つめる時間だったと思う」とミッチェルは言う。
ボグダノビッチが離脱した分、「もっとパスを出していく。みんながシュートを打ちやすくなれば、僕だってプレーしやすくなる。僕のキャリアをトータルで考えても大事なステップだ」とパサーとしての意識を強調するが、彼が考えているのは単なるプレーの改善ではなく、人として成熟してリーダーになることだ。
「試合に向けて練習を続け、チームメートにとってより良い存在になり、リーダーとしも選手としてもまた違った成長をしたい。今までは自分のことに集中していたけど、正反対のことをしようと考えている。チームにフォーカスするんだ」
ミッチェルとは2017年入団の同期で親友でもあるロイス・オニールは、『Salt Lake Tribune』に「あいつはまだまだ成熟なんてしてないけどね」と茶化すが、それでも中断期間を通じてミッチェルがチームメートに声を掛けてはグループミーティングを開き、チーム内のコミュニケーションを図っていたことを明かした。
「僕はこのチームのリーダーになりたい。みんなを引っ張るだけの準備ができた確信を持ちたいんだ」と語るミッチェルは、『バブル』に入っての練習でもチームを引っ張る姿勢を見せている。
ヘッドコーチのクイン・スナイダーも「意識が高まり、いろんな意味でチームにインパクトを与えようとしている」とミッチェルの変化を語る。「彼は賢いし、まだ若いが昨年より明らかに成熟している。彼の成長はまだまだ続いていくだろう。彼をコーチする機会を得られたことに興奮しているよ」
ジャズが抱える様々な課題を、ミッチェルの成熟がカバーするかもしれない。7月31日のペリカンズ戦からジャズのシーズンは再開するが、ミッチェルのプレーだけでなく、コート上での立ち居振る舞いにも注目したい。