試合巧者ぶりを発揮して前半を耐えた横浜、後半に爆発
中地区の5位と6位、富山グラウジーズと横浜ビー・コルセアーズの対戦。ともに下位とはいえ、富山にはまだ2位までジャンプアップしてチャンピオンシップ進出の可能性があり、また横浜は残留プレーオフには回りたくなく、必勝を期した一戦となった。
前半は全くの互角。ホームの富山は宇都直輝のピック&ロールからズレを作り出す。宇都は自らのアタックだけでなくパスの選択も良く、アウトサイドをうまく使ってオフェンスを組み立てた。特にオン・ザ・コート「2」の第2クォーター、外国籍選手にボールを集中させることなく上江田勇樹が7得点を記録するなど、うまく横浜ディフェンスのギャップを突いた。
横浜は川村卓也が試合を通して好調。立ち上がりこそ重かったが、川村を起点に富山ディフェンスを翻弄。第2クォーターは川村とハシーム・サビート・マンカが7得点、ジェフリー・パーマーが5得点と3人だけで全19得点を稼ぎ出した。目立ったのがフリースロー。第2クォーターは開始3分で富山から5つのファウルを誘い、10本得たフリースローを9本沈めた。攻守のバランスとしては富山が上回ったが、横浜は試合巧者ぶりを発揮し40-41と1点差で食らい付く。
ハイテンポな打ち合い、富山も終盤に怒涛の追い上げ
そして後半、横浜が粘りのバスケから一転して爆発する。打開のきっかけを作ったのはウィリアム・マクドナルドだった。オン「1」の時間帯、まずはサム・ウィラードを重さでペイントエリアから締め出して仕事をさせず、最初の2分15秒で9-0のランを演出。たまらず富山が送り出したデクスター・ピットマンも完全に抑え込み、なおかつ自分は9本中7本のシュートを沈めこのクォーターで18得点を挙げる獅子奮迅の働きを見せた。
富山は3人目に送り込んだクリント・チャップマンが10得点の大暴れで反撃に出るが、ここで横浜は日本人ビッグマンの佐藤託矢がしぶとく得点して富山のビッグランを許さず、そうこうするうちにチャップマンはファウルトラブルでベンチに逆戻りする羽目に。ノーガードの打ち合いとなった第3クォーターを36-23で上回った横浜が76-64と2桁リードを確保した。
最終クォーター残り3分40秒、富山はチャップマンの技ありフローターショットで79-87と点差を1桁に縮めるが、そのチャップマンが直後のプレーでサビートを止めに行きファウルアウトに。なおも勝負をあきらめず、宇都のパスアウトからウィラードが沈めた3ポイントシュートで息を吹き返し、大塚裕土の連続得点で89-91と2点差まで迫ったが、反撃もここまで。
タイムアウトでオフェンスをセットした横浜は、細谷将司と川村でボールを動かしてサビートで勝負。ピック&ロールでマークについたピットマンをかわしたサビートは、ヘルプに来たウィラードの頭越しに打点の高いシュートを決め、93-88と突き放す。落ち着きを取り戻した横浜はラスト1分を難なく乗り切り、最終スコア97-98で価値ある一勝を手にした。
「富山には負けたくないという悔しさが選手にある」
横浜は5カード10連敗の悪夢から抜け出した28日の三遠ネオフェニックスに続く連勝。オフェンスマシーンの川村卓也は、試合を通じてコンスタントに得点を重ねて29得点7アシストの大活躍を見せた。「チーム全体の勝ちたいという気持ちが前面に出ていた。チームとしてやることを徹底した結果。残留プレーオフを回避するにはどうしても必要な一つ。気持ちを切り替えてまたしっかりやりたい」と、明日の第2戦の必勝を誓った。
尺野将太ヘッドコーチは「いつも課題にしているディフェンスを今日も課題にしていましたが、いつもと違って今日はオフェンスで相手に勝つことができました」と、今シーズン最多の97得点で打ち合いを制した試合内容を評価。「川村が起点にはなっていますが、ディフェンスがそこに集中するので川村をうまく生かしてチームとしてうまく得点が取れた」とエースの川村だけでなく、チームとして戦えたことを強調した。
これで富山にはホームで1勝1敗、アウェーで3勝と勝ち越しが決定。尺野ヘッドコーチは「前回連勝した地で、選手も良いモチベーションで試合に臨むことができた。昨シーズンの順位決定戦で敗れて、富山には負けたくないという悔しさが選手にある」と、その背景を説明している。
富山の指揮官ミオドラグ・ライコビッチは「特に外国籍選手のところがうまく行かなかった」と敗因を挙げ、「横浜が新しいことをやってきた認識はないですが、我々の集中力ない時間もありましたし、明日は特に外国籍選手たちにローポストのディフェンスを頑張ってほしい。自分たちの集中力を高めて、勝てると自信をもって戦ってほしい」と明日の第2戦へ気を引き締めた。