石谷聡は福岡から京都ハンナリーズへ、35歳のチャレンジ「B1のレベルでやりたいという思いがずっとあった」

石谷聡は福岡から京都ハンナリーズへ、35歳のチャレンジ「B1のレベルでやりたいという思いがずっとあった」

2020/07/19

石谷聡

石谷聡は福岡県出身、中村学園三陽から福岡大へと進み、bjリーグ時代のライジング福岡に加入。青森ワッツで過ごした1シーズンを除いて在籍が11シーズンに及んだ彼は、福岡を象徴する選手だった。その石谷が今夏、京都ハンナリーズへと移籍した。福岡にキャリアを捧げると思われていた彼が移籍を決断し、新天地に京都を選ぶにあたり、どんな思いがあったのだろうか。

「35歳になったけど立ち止まりたくない」

──長いオフになりましたが、契約が決まるまで時間を要しました。生え抜きで長くプレーした『ミスター福岡』がチームを離れるのは想像できませんでしたが、自分ではどういう考えでしたか?

僕は自分が『ミスター福岡』だとは思っていませんでした。在籍が一番長くて地元なので、愛着だったり特別な思いはありますが、プロ選手としてまだまだチャレンジしたい気持ちはあったし、B1を一度経験してやれる可能性も学んだし、35歳になったけど立ち止まりたくないという思いはありました。B1でやりたい気持ちと、新しいチャレンジをしたい気持ち、その両方ですね。

福岡は地元だしやりやすい環境なんですけど、逆にそれで甘えてしまう部分もあったし、単にバスケットだけじゃなくすべてにおいて新しい環境に身を置いてチャレンジしたいと思いました。福岡に慣れている分、移籍で戸惑うこともあるでしょうが、それも楽しんでやっていきたいです。

──福岡をB3から2度の昇格に成功してB1で戦いましたが、その2018-19シーズンは12勝48敗と厳しい戦いになりました。

チームは勝てなかったし、苦い思い出は強いです。それでも個人としては通用するプレーも通用しないプレーもあって、それが分かった意味ですごく良い経験ができました。ゲームコントロールとピック&ロールからの攻撃、ディフェンスはある程度、自分でもやれる手応えはありました。3ポイントシュートはアテンプトが少なくて確率も良くなかったので、それを上げてプレーの幅を広げる必要があります。昨シーズンを通して「B1のレベルでやりたい」という気持ちがずっとありました。今はチャンスを得られたので、B1で戦うシーズンに向けて準備をしています。

──京都からはどんな期待をされていますか?

若い選手が多く、同じポジションにも若手が多いので、ベテランとしてチームを引っ張ったりサポートしたりする役割を期待されていると思います。だからと言ってプレー面ではまずチーム内で勝負するつもりだし、試合に出るために勝つことが必要になるので、そこは努力していくつもりです。

ベテランの年齢ですがプレーで遠慮する必要はないし、コートでは自分を出しつつ若手に良い影響を与えられればと思います。どういうバスケをするかは何か言われているわけじゃなく。今は自分の準備をしています。

石谷聡

「35歳でもまだまだ成長できると思っています」

──B1でのチャレンジを求めたのはいいですが、契約が決まるまで時間がかかりました。焦りはなかったですか?

焦りはありましたし、今は正直ホッとしています。まだ契約が決まっていない選手も多くて、厳しいオフシーズンになっています。新型コロナウイルスについては僕らがコントロールできるものじゃないのでもどかしいですが、レギュレーションの変更もあって契約状況が難しくなることにフォーカスしすぎても良くないだろうし、焦りはあってもいつチャンスが来ても大丈夫なように準備していました。メンタル的には「これだけやっているから大丈夫、いつでも行ける」という気持ちになるためにトレーニングに励んでいた感じです。

──実際、オフの身体つきには見えませんね。今すぐ開幕しても問題なくハードに戦えそうです。

そうですね。プロの基準はもっともっと上げるべきだと思っているので。オフシーズンは休むことも必要だし、メンタル的にも一度はリラックスしないといけないですが、今回は3月から休んでいて、もう次のシーズンは始まっていると思っています。昨シーズンを振り返って良かったところ悪かったところを次のシーズンに持っていけるように、オフシーズンに身体を作ってチームに合流した時には戦術をやれるのが理想だと考えているので、結局いつも早めにトレーニングすることになりますね。

毎シーズン、この時期にどれだけ鍛えて準備しておくかが大事だと思っていて、僕自身は35歳でもまだまだ成長できると思っています。だからこそ「このくらいでいいだろう」という基準はもっと高くすべきです。常に上手くなりたいと思っているのでダラダラする時間はなくて。ただひたすらやればいいわけじゃなく、その中で休むバランスを自分でちゃんと管理することも大事です。

──実際のところ、契約が決まるまでの間に内心では焦りがあって、現役引退を考えることはありませんでしたか?

うーん……年齢的には引退がいつ来てもおかしくないですけど、ケガをするかもしれないし、どこからもオファーが来なかったら事実上の引退になるわけで、それがいつになるかは僕には分からないです。分からないから、もうやり切ろうと思って。やり残すのは嫌なので、オフシーズンでもこうやってトレーニングしているし、シーズン中も毎日やりきっているつもりです。そういう意味ではいつ引退が来てもいいや、というメンタルでやっています。

石谷聡

「福岡で11年間プレーできたのは支えてくれた人のおかげ」

──では、長くプレーした福岡のブースターの皆さんにここでメッセージをお願いします。

今シーズンも厳しい戦いになりましたが、ああいう形で終わってしまい、皆さんに会って感謝を伝えられなかったのは残念です。僕個人としてはライジング福岡の時代から11シーズンもお世話になって、応援してくれる皆さんも僕が入った時にこれだけ長く現役を続けるとは想像できなかったと思います。僕自身も想像していなかったので(笑)。それでも長くやれたのは皆さんとのご縁があったからだと思っています。

有明でのbjリーグファイナルで準優勝したり、それ以外も何度もプレーオフに進出して、一方で会社の経営という面ではいろんなことがありました。Bリーグになる時も3部スタートで、そこからみんなで上がっていきました。B1のシーズンも最後は経営が傾いて、僕らの給料が支払われなくてもおかしくない状況だったのですが、皆さんがクラウドファンディングをやってくれたり、いろんな形で支えられて11年間プレーできました。厳しいことがたくさんあって、メンバーも入れ替わっていく中で自分が長くプレーできたのは本当に皆さんのおかげだし、ありがたいです。

──新天地となる京都にはどんなイメージを持っていましたか?

bjリーグ時代から対戦していますが、B1で苦戦続きの中で初めて勝った相手が京都で、そのイメージが僕個人としては強いです。優勝争いには手が届いていませんが、安定して強いチームという印象です。それは運営がしっかりしているからだと思いますし、会場の熱い雰囲気も好きです。

京都の街については言うまでもないので、行くのが楽しみです。でも、実は京都にほとんど行ったことがありません。中学の修学旅行で金閣寺とか清水寺に行ったぐらいで、試合で来ても街を見て回ることはなかったので、それは楽しみにしています。

あとはチーム内での立ち位置が変わるのが気になりますね。福岡は長いのでチームメートに美味しいご飯屋さんを教えるのは僕の役目でしたが、京都のことは何も分からないので、今度はみんなに教えてもらいたいです。味付けとか全然違うと聞きますけど、それも楽しみです。

ハンナリーズブースターの皆さんの熱い応援も楽しみです。チームのために一生懸命プレーしますので、熱い応援をお願いします。

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