7月13日、Bリーグは2020-21シーズンの概要発表会見を実施した。外国籍選手のベンチ登録数やアジア枠の誕生などレギュレーションが変更された4年目のシーズン、Bリーグアナリストの佐々木クリスに見どころを聞いた。
様々なニーズに対応できるレギュレーションの変更
──新シーズンは外国籍選手のベンチ入り人数が変わるなど、レギュレーションに変更がありました。この変化がもたらすものはなんでしょうか?
まず、ベンチ入りできる外国籍選手が2人までという昨シーズンまでのルールは、マネジメントという部分でチャレンジングなシステムでした。それが変わり、外国籍選手3人のピークパフォーマンスを余すことなく出していけることで戦力の向上に繋がります。
僕が研究対象として面白いと思っているのは、ファンのニーズが多様化してきたことです。感情移入をしやすい日本国籍の選手を応援したい人、バスケットボールにおいて最高品質のプロダクトを見たいという人など様々です。その中でレギュレーションの変更はそれぞれのニーズに応えていけると思っています。
──センターだけでなく、ガードやフォワードタイプの外国籍選手の獲得も目立ちました。初年度にアルバルク東京に在籍したディアンテ・ギャレット選手のような華麗なプレーが増えそうですね。
そうですね、ギャレット選手はオールスターにも選ばれたし、1対1の能力が高く、見ていてワクワクする方も多かったと思います。でもあくまで僕の意見ですが、皆さんが思っている以上に彼の評価は高くなく、諸刃の剣でマイナスポイントも存在していたと思っています。あのタイプの選手が来れば見ていて楽しいかもしれないですが、優勝に直結するかどうかは、結果が示しているのかもしれませんね。今日の田中(大貴)選手や藤井(祐眞)選手などのほうが、ゲームを作るという意味では質の高いパフォーマンスをすることも考えられます。
──なるほど、派手なプレーにとらわれるなということですね。
三遠ネオフェニックスのサーディ・ラベナ選手は代表クラスだと思いますし、レバンガ北海道に入ったガードタイプのジョーダン・テイラー選手もユーロリーグでの経験があるなど実力は高いと思います。日本人選手たちには彼らの個の能力の中で盗めるところは盗んでもらいつつ、結果的にそういった選手がいないチームが勝てば、それは良い相乗効果になるんじゃないでしょうか。
「バスケが皆さんの人生を豊かにできる」
──いろいろメリットがありそうですが、その一方で日本人ビッグマンはプレータイム確保がより難しくなりそうですね。
これもどこにゴールを置くかだと思います。リーグがどうしたいか、ファンがどういうバスケットを見たいか。戦力均衡を求めるファンもいれば、強いクラブが引っ張りスタンダードを上げる、そこからトリクルダウンを期待するなどやり方は様々です。
日本人ビッグマンのプレータイムが奪われる話ですが、例えば富樫(勇樹)選手や田中選手クラスが外国籍ビッグマンとピック&ロールをやった場合、アリウープのオプションがあるし、間違いなくピック&ロールの質が上がり、その時点で見れるバスケットの質も上がります。
厳しい言い方になりますが、育成するリーグではいけないと思います。世界を見ても戦い方が変わってきていて、3ポイントシュートを打てないパワーフォワードの評価は落ちてきています。ポイントガード並のIQを持つパワーフォワードが求められていますし、パワー系の日本人ビッグマンがいなかったとしても決して日本のバスケが止まることにならないと思います。今の高校生や大学生のビッグマンは3番をやる前提でBリーグに来ればいいと思います。
──深いですね。では最後にあらためて新シーズンの見どころとともに、ファンへのメッセージをお願いします。
まずはバスケットボールが日常にあることが当たり前じゃないということを自覚した選手たちが、これまでにない雰囲気を見せてくれるシーズンになると思います。そこには大きな期待をしています。
アジア枠も取り入れ、バスケのパフォーマンスが世界基準になるだけではなく、ダイバーシティに富んだリーグになっていきます。その中で、より日本代表のレベルアップに繋がるようなパフォーマンスがきっと見られるシーズンになると思います。
バスケが皆さんの人生を豊かにできるということを証明するために、僕も情報提供や現場の橋渡しをして貢献していきたいです。ファンの皆さんも対策を取って会場に来ていただき、シーズンを成功させることができればいいなと思っています。