内田旦人

2018-19シーズンにレバンガ北海道に特別指定選手として入団した内田旦人は、北海道とプロ契約を結んで最初のシーズンを終えた。コンスタントにプレータイムを得られない中、ようやくリズムをつかみかけたところでの中断となったルーキーイヤーの自己評価は「30点」と低いもの。ただ、これはこれからの自分自身への期待も込めての点数。成長するためのヒントは得られた。ガード陣の顔ぶれが変わる新シーズン、大きな飛躍が期待される内田に、その意気込みを聞いた。

「ディフェンスの部分が甘かった」

──プロ1年目のシーズンが終わって4カ月ほど経ちましたが、あらためてどんなデビューシーズンでしたか?

大学の時もリーグ戦は毎週末あったのでハードでしたが、プロになると移動もあるし、水曜ゲームもあると試合も多くなって、毎試合に臨むためのコンディションの維持がすごく難しかったです。その上、大学とは違って対戦相手も都度変わるので、相手のことも考えつつ、自分のコンディションにも意識を向けないといけなかったのがすごく大変でした。

プレー面では、やっぱり毎試合毎試合でコンスタントに活躍することがすごく難しかったです。シーズンを通して良い時も悪い時もありました。終わってみてあらためて思うのですが、特にディフェンスの部分が甘かったからプレータイムが安定しなかったのかなと今は思っています。

オフェンスはプルアップやピックのところも、特別指定の時よりもできた部分がありました。もちろん課題はありますが、ディフェンスに比べたらオフェンスは通用していたと思います。

──ディフェンスは具体的に何が課題なんでしょうか?

1アームと言って、腕1本分を詰めて守ることがあるんですが、抜かれることを怖がってそれ以上開けてしまう時がありました。そのせいでスペースができて打たれてしまったりして。僕がプレータイムをあまりもらえていない時に同期の中野司が試合に出ていたので、司との違いは何だろうと思って見ていたんです。そうしたら司は、僕ができていないディフェンスの部分がしっかりできていてプレーも安定していました。

──それは誰かにアドバイスをもらったのか、それとも自分で気がついたんですか?

自分で気がつきました。天皇杯2次ラウンドの千葉戦や12月中の試合も見ていて、シュートが当たっていたこともあるかもしれないけど、それ以上に司はディフェンスが良くて、そこが自分との違いだと分かったんです。プロは外国籍選手がコートに2人いたり帰化選手もいるので、ディフェンスの仕方も相手によって変わります。そこで自分の知識をもっと増やさなければと感じました。

内田旦人

「チャレンジできる今の環境はすごくありがたい」

──北海道のガード陣は多嶋朝飛選手、松島良豪選手と在籍の長いプレーヤーが多く、そこに橋本竜馬選手のような経験豊富な選手もいました。若い選手にとってはプレータイムを確保するのが簡単ではなかったと思います。

相当難しかったですね。特別指定の時はポイントガードにケガ人が多かったので山本(柊輔)さんと2人でやる期間もありました。昨シーズンは基本的に2番ポジションで出ていて、12月の三遠戦で初めてポイントガードで出場しました。ただ、ゲームコントロールをする場合と得点やディフェンスに重きを置く場合、試合によって役割が変わるのが難しかったです。正直言うと、その切り替えが上手くできなかったという反省もあります。開幕前に「ポイントガードでやる時間帯もあるよ」と言われていたので、準備はしていました。経験がないことを言い訳にしたらダメだと思いますが、いざ試合になると自分のことで精一杯になってしまったんです。

──逆に経験がない分、当たって砕けろといった感じでしたか?

よく練習では砕けていたんですが、砕きがちょっと足りなかったかな(笑)。実際、メンタルはすごくやられました。ただ、そういう時に松さんや折茂さんが、試合中でもオフコートでもすごく面倒を見てくれて、とても心強かったです。

──経験は追いつけないにしても、先輩たちに負けない内田選手の強みもあるのではないでしょうか?

そうですね。ペリメーターとか1ドリジャンプシュートは負けられないと思っていますし、そこを強みにしていきたいです。そこが確立できていない部分ですが、「自分の方が勝っている」と言えるようにしたいですね。

折茂さんからは「お前がミスしても先輩たちがカバーしてくれるから、思いっきり行け」とずっと言われていて、シーズン後半にはそれを体現できるようになったと思います。得点を取りに行くところでドライブやプルアップだったり、スポットアップの3ポイントシュートの確率も後半には伸びていたので、自信にも繋がりました。

──折茂選手と松島選手の引退でガード陣は大きく変わります。内田選手は1番と2番、どちらで行きたいですか?

まだ特に何も言われていないのですが、どのポジションで求められたとしても、特別指定とルーキーシーズンを経験して、もっとこうした方が良いということが分かったので、どこでもいける準備をしていくつもりです。それに僕は高校では3番、大学はずっと2番で、ポイントガードを本格的に始めたのが特別指定の時なので、自分でも1番をできることはすごくワクワクしていますし、チャレンジできる今の環境はすごくありがたいです。

──収穫も課題も多いルーキーシーズンだったと思いますが、ご自身で点数をつけるとしたら何点ですか?

うーん……。1シーズンを通してプレータイムに波があったのと、自分の中で課題に気づくのが遅かったので、良くて30点ですね。年明けの富山戦ぐらいからプレータイムが伸びたんですが、ディフェンスの部分とかもっと前に気がついていたら、もっと前からプレータイムを伸ばせたと思うんです。そういう部分も含めて「もっとできたな」と思うので30点にしておきます。これからの自分への期待も含めての点数です。

内田旦人

新シーズンの目標は「選手像をはっきりさせること」

──松島選手が引退会見で、『劇団松島』を継ぐ存在として内田選手の名前を挙げていました。

いや、まだ自分はそんな、そんなもう……。どうなんですかね(笑)。まだそこまで達していないので、正直言うと「できれば良いな」ぐらいです、今は(笑)。期待してもらっているならやりたいかもしれないですが、そこはクラブと相談してみます(笑)。

──来シーズンはプロ2年目になりますが、「自分がチームを引っ張らなければ」という意識はありますか?

意識しないといけないと思っています。僕は北海道出身ですし、期待してくれているファンの方もいます。今はまだ成績も残せていないですし、そこは僕自身、学生の頃から今も結果に関しては悔しさがあるので、チームを勝たせられるプレーヤーになりたいです。

──それでは新シーズンの目標を教えてください。

選手像をはっきりさせることです。昨年はシーズン中盤までディフェンスもオフェンスも「内田はこういう選手」というのがはっきりしなくて、それは自分自身でもダメだと思っています。来シーズンは「内田を出したら試合の流れが変わる」とか、「この状況では内田を出す」とか、自分の長所をはっきりさせてチームに貢献したいです。

──最後に北海道のファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

昨シーズンはコロナの影響でシーズンの最後までプレーすることができませんでした。今は自分の弱点と向き合って長所を伸ばすワークアウトをしていて、それを来シーズンに繋げる努力をしています。そこを皆さんにお見せできるように、そしてお互いに元気な姿でまたコートで会えたらなと思います。