構成・写真=西宮ストークス

岡田優は高い精度を誇る3ポイントシュートを武器に、bjリーグ時代から数々のチームで活躍。今季がプロ13シーズン目で、年齢は34歳になった。昨シーズンは富山グラウジーズを降格の危機から救い、今季も富山でプレーしていたが、1月に期限付き移籍で西宮ストークスに電撃加入。シーズン途中で加わったゆえに俯瞰的な視線でチームを見ることができ、チーム内に新鮮な風を吹き込ませている。そして何よりも、昨季の富山で残留プレーオフを戦った経験は今のストークスにとって得難い財産。プロとして数々の修羅場をくぐり抜けてきた彼が、既存の選手たちに殻を打ち破るきっかけを作る。

「その1試合1試合に執念を出しているか」を問う

──シーズン途中での加入になりました。チームに入ってみて、どんな印象を持ちましたか。

勝ちに対してすごく準備をして、一生懸命やっている。その週ごとにすごく意気込みを持って、必死にやっているなと感じました。ただその一方で、多少なりとも負けに慣れてしまっているなとも思いました。負けた試合の後で「今日もダメだった」みたいに、淡々としたものを感じました。

──負けに慣れてしまっていることに、選手たちは気付いていなかった?

そうだと思います。試合前は意気込みがあったけど、その1試合1試合に執念を出しているかといえば、自分も含めて足りないと思う。良く言えば次への切り替えが早いともとらえられますが、もう少しその日のうちに、負けたことに向き合ってもいいんじゃないかと思う。でも終わったことは気にせず、次に気持ちを向けるのはすごく前向きで良いところ。若いから、それができるんだと思います。チームには若い選手が多く、それには良い部分と悪い部分がありますね。

──負けた試合の内容に、目を向けることも大事。

決して負けたから悔しがれとは思わないですけど、意識を次に進める前に何がダメで、何が足りなかったのかを、もう少し振り返ったほうがいいんじゃないかなと感じました。僕は試合中の出来事を振り返って、あの場面は他のプレーを選択したほうが良かったんじゃないかとか、そういう話を結構するようにしています。「次、次」と言うのは簡単なので。

──試合を振り返って話をすることで、チームの様子は変わってきましたか。

みんなそれぞれに意見はあると思うけど、今までそれを言い合ったことがなかったんだと思います。負けたということは、ダメな部分が多かったということ。それを一つずつでも修正していく必要があります。お互いが「こうして欲しい」と意見を言い合うことで、ダメな部分が少しずつ良くなっていけば、勝ちにつながる。チームメートには、特にその選手がしてしまったミスを、もう一回思い出させるような感じでは話しています。

「柔軟性を持って、臨機応変にやることが大事」

──ストークスがここまで結果を残せていなかった要因は、どこにあると感じましたか。

得点力や、ディフェンスの安定感、いかにミスをしないか、ここぞで決め切る力。チームに入ってみて、それらを40分間維持できないことを感じました。良い試合をしていても、最後は上手さを発揮した相手にやられる。日本人選手がサイズで劣るなどいろんな問題はありますが、チームとして耐える力とか、決めるべきところで1本のオフェンスを獲りきる力とかはちょっと弱いんじゃないかな。個人の力は大切ですが、脆さが出る場面もあるなと感じました。

──それを改善するためには?

言える人、言いいにくい人は関係なく、普段からどの選手にも意見を言う。コートに出たら、みんな平等ですから。練習の間に「こうしたい、こうしてほしい」と意見を言わないと分からない。自分から意見を言わず受け身になっている選手もいて、そういう選手は言われたことの1つか2つくらいしか頭に入れていない。もっと柔軟性を持って、臨機応変にやることがすごく大事なのに、真面目だから余計に一つのことだけをしっかりやろうという選手が多い。もっとやんちゃな感じを出してもいいんじゃないかと思います。

──ストークスの選手たちは、本当に仲が良い。それだからこそプレーで主張し合うことでつながっていけば、殻が破れるのではと感じます。

そこですね。本当にみんな、真面目なんです。練習中も一生懸命に取り組む選手ばっかり。それだから良い練習ができているので、上達にはもってこいの環境です。だからこそ意見を言い合うことが必要だと思う。普段の仲の良さとは別に、コート内でお互いの関係を深めていかないといけない。

──岡田選手がこのチームでするべきことは、どういったことだと考えていますか。

ストークスは、一つのことを一生懸命にやるのがいいと捉えている選手が多い。そうではなく、もっと柔軟性を持っていろんな方法をつねに頭に入れてやることが大事。コーチらに言われたプレーだけじゃなくて、バリエーションをいくつか頭に入れ、チームのフォーメーションを少し脱線させてでも臨機応変にやることが必要になる場面もあります。その大切さを、若い選手に伝えていきたい。試合で自分がやるべきはスコアしてアシストして、チームを勝たせることだと思っています。