アイザイア・トーマス

ベンチから出て、攻めで流れを変えられる選手

NBAのシーズン再開に向け、動きがありそうなのがセブンティシクサーズだ。ベン・シモンズとジョエル・エンビードという若いタレントを中心に据えたチームは爆発力はあるが、昨シーズンのプレーオフではカンファレンス・セミファイナルでラプターズとの大接戦の末に敗れている。そして今シーズンは昨年ほどの強さを発揮できておらず、中断時点で39勝26敗、東カンファレンス6位と期待を下回っている。優勝を狙うチームとしては、チームに何らかのテコ入れが必要な状況だ。

シーズン再開に向けて登録できるのは17名で、今のシクサーズは16名の選手を抱えている。この1枠に求められるのはビッグマンやハードワークができる選手ではなく、ベン・シモンズを休ませている際もチームを動かすことのできる、得点力のある控えガードだ。ここで名前が挙がっているのがアイザイア・トーマスだ。

今シーズンのトーマスはウィザーズでジョン・ウォール不在の穴を埋める役割を期待され、40試合に出場。平均12.2得点、3.7アシストの数字を残したものの、2月にクリッパーズにトレードされた後に解雇されていた。

2016-17シーズンまではセルティックスのエースだったトーマスだが、股関節のケガでそれまでのようなパフォーマンスを発揮できなくなると、キャバリアーズ、レイカーズ、ナゲッツを渡り歩くことに。セルティックス時代はマックス契約もあり得ると言われていたが、ベテラン最低保証額でのプレーも余儀なくされた。

全盛期のキレはもう失われたかもしれないが、小さい身体ながらシュート能力は高く、相手と駆け引きする中で巧みにフィニッシュに持ち込み、アシストもできる。シーズン途中で戦力外と見なされたが、トーマスはウィザーズに対して「僕にチャンスを与えてくれたことに感謝している。自分自身が健康で、まだまだこのレベルでやれることを確認できた」と語っている。

シクサーズから見れば、メインとなるのはあくまでシモンズ。彼を休ませる間、あるいは彼のプレーが相手ディフェンスに封じられて流れが悪い時に、ベンチから出てオフェンスを引っ張ってくれればいい。ウィザーズではディフェンスの難を指摘されたが、シクサーズにはサイズがありディフェンスのできる選手が揃っている。

トーマスであれば、エンビードやアル・ホーフォードとのピック&ロールでシモンズにはできない攻撃の舵取りができる。セルティックスで巧みな連携を見せたホーフォードとのコンビネーションがまた見られるとなれば楽しみだ。またトーマスとシモンズを同時に起用するオプションも相手からすれば脅威となる。トーマスにとっても、ここで契約を得られれば復活の大きなチャンスとなる。