文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

6連敗を喫するも「やっていることは間違っていない」

サンロッカーズ渋谷は先週末のアルバルク東京とのアウェーゲームに連敗。どちらも接戦を演じたものの、試合開始から0-6、0-7のランを浴びる立ち上がりの悪さが両日とも響いた。

第1戦では長谷川智也が終盤のファウルゲームで2度目のアンスポーツマンライクファウルをコールされ、出場停止に。連敗を阻止したかった第2戦、長谷川に代わり先発を託されたベンドラメ礼生は攻守に奮闘したが、結果にはつながらず。「今のチームの課題は出だし。第1クォーターでリズムに乗れず、そのまま点差になってしまいました」と試合を振り返る。

ただ、試合後の会見で勝久ジェフリーとロバート・サクレが「やっていることは間違っていない」と口を揃えたのと同様、ベンドラメにも迷いはなく、「出だしをイーブンで終われれば後半に守り勝つという流れが作れると思います」と語る。

2点差まで追い上げたが、追い付き、逆転するには至らず。そこで一歩届かなかったことについても「そこは前半からのディフェンスの積み重ねです」と、課題を複数挙げて事態を複雑にするのではなく、試合の入り方だけにフォーカスする。それはやはり、「やっていることは間違っていない」との確信があるからだ。

「殻を破る、勢いをつけるプレーが必要だった」

前半は劣勢が続いたが、ベンドラメは守備から流れを呼び込もうと全力プレーを貫いていた。動物的な勘から鋭い出足でボールを奪い取るスティールは彼の代名詞。ただ、この日は伸ばした指先をボールに引っ掛けながらもラインを割ってしまいマイボールにならないなど、ハッスルが結果に表れないツイていない時間が続いた。

それでもひたすらボールを追った心境を尋ねると、「やっぱりそれがバスケットだし、ディフェンスから頑張るのが僕たちのスタイルなので」と語る。「そこはチーム全体で継続することを練習でもやってきています。続けることで良い流れが来ると信じて、やり続けることが大事です」

それが第3クォーター、1ポゼッション差に迫る逆襲につながった、と考えるのは都合が良すぎるだろうか。だが、キャプテンの伊藤駿から「もっとアグレッシブに行け」と声を掛けられたベンドラメは、前半わずかシュート3本を放ち無得点だったオフェンスの姿勢をあらため、自ら積極的に仕掛けるようになった。その結果、第3クォーターは8得点、第4クォーターも攻め続けて6得点を挙げオフェンスを引っ張った。

「良い試合はできているけど勝ち切れない。負けが続いていて殻を破るというか、勢いをつけるプレーも必要だと考えました。ただ、スタメンとしてコートに出るからには前半から積極的にリングにアタックしていく姿勢を出していくべきだったかなと思います。今が別に悪いとは思わないので、今のプレーを続けて良い流れを作りたいです」

見据えるのはチャンピオンシップ出場のその先

SR渋谷は琉球ゴールデンキングス、千葉ジェッツ、A東京と強豪を相手に6連敗。これで栃木ブレックスにかわされ、チャンピオンシップ出場圏内から外れた。昨シーズンのまま中地区にいたら、おそらくSR渋谷はこの時期にチャンピオンシップ出場を当確としていただろう。だが、その話をしても意味がない。ベンドラメはむしろ東地区にいることが結局はチームにとってプラスになると考える。

「チャンピオンシップになれば今日みたいな試合が多くなります。残りの試合の中でこういう試合を勝ち切る力を付けないと、チャンピオンシップに出たところで勝てないので。東地区の強い相手とやって競り勝つのが大事です」

彼はチャンピオンシップに進出することを成功とはとらえていない。それでは昨シーズン、チャンピオンシップのクォーターファイナルで川崎ブレイブサンダースに敗れたところからの進歩がない。Bリーグ優勝という目標に到達するために、今ここで苦しみながらチームを向上させることは必要なステップだと考えている。

「自分たちが強くなっているという自信はあります。だけど勝ち切れないのはどこかに問題があるからで、チーム全体で成長して勝ち切る力をつけます」とベンドラメは誓う。6連敗しても誰も自信を失っていないSR渋谷。彼らはまだ死んでいない。大きな飛躍を期しているのだ。