文・写真=丸山素行

トップ選手との濃密な練習に「これが代表か」

U-22男子日本代表は3月5日から9日まで第3次スプリングキャンプを実施し、今日から韓国遠征を行っている。第1次キャンプでは29名が招集されたが、今回の第3次キャンプは15名に絞られた。

1年生ながら拓殖大の主力となり、関東大学バスケットボールリーグ戦で優勝を果たす原動力となった岡田侑大の姿もそこにはあった。岡田は『日韓中ジュニア交流競技会』の代表に選出された経歴はあるものの、それはU-19代表選手を除いたメンバー構成となっており、純粋な代表選出はこれが初めてだという。

U-19ワールドカップで歴代最高の10位を達成したメンバーでさえ落選している状況、「(杉本)天昇も落とされて、同じポジションとして自分も危ういなと思ったし、危機感はありました」と本音を漏らした。

代表に縁のなかった岡田にとって、同世代のトップクラスが集うこのキャンプは貴重な場である。「こんなにうまい人たちとやる機会はそうそうないです。大学で対戦することはあっても、同じチームで練習する機会はないので、どんなプレーをするのかなとか。合わない時には遠慮なくコミュニケーションを取るし、これが代表かと感じました」

メンバーは、高校や大学でしのぎを削り合ってきた顔馴染みが多い。そのため明るい雰囲気は見て取れるが、その緩さが悪い方向に出た場面もあったという。それでも「NBA選手は練習やワークアウトを本気でやっているというのを聞かされて、雰囲気は締まりました」とコーチ陣からクギを刺され、オンオフをしっかり区別するようになった。

「楽しんでるだけじゃ受からないですし、友達でもやるときはやらないと。コート内ではみんなとバチバチやってます」

スピードではなく技術で抜く『比江島タイプ』の突破力

岡田はドライブを得意とするスラッシャータイプの2番。2次合宿では互いの長所や短所を言い合う機会があり、そこで自分の強みを再認識した。「スピードやジャンプ力とかの身体能力があるわけではないのに抜けていくのはすごいんじゃないかと言われました。囲まれたとしても慌ててターンオーバーするのではなく、その場をしのげるのは自分の持ち味だと思います」

スピードではなく技術で抜く。言うは易しだがそれを体現できる選手は少ない。この言葉を聞くと、押しも押されぬ日本のエースとなった比江島慎のプレーを思い浮かべるが、実際に周りから比江島のプレーに似ていると言われるそうだ。

岡田は身体の使いかたもうまく、フィジカルなディフェンスをされてもフィニッシュできる巧さを持っている。それでも特にトップクラスの選手が集うこの合宿では、フィジカルの弱さを痛感。それは先のミーティングでも課題に挙がった。「ここに来ると、ディフェンスの時に押し込まれると感じます。同級生にも押し込まれたりするし、フィジカル面が課題とは言われました」

念願の初代表も「ここは通過点みたいなものです」

今回のチームはA代表を見据えた育成方針もあり、身長の高い選手を中心に選出されている。それだけではなく、選手をポジションアップさせることも大きな目標としており、試合で誰がどのポジションで起用されるかは明らかになっていない。また同じ2番ポジションにはU-19ワールドカップで主力として活躍した西田優大がいて、岡田も「この中でまだスタートに入れる自信はそこまでない」と慎重な発言をした。

それでも「目標が12人に残って活躍することなので、ここは通過点みたいなものです」と高い向上心は不変だ。

岡田は3度の合宿を経て、念願である代表の座をつかみ取った。それでも初代表に選ばれた感傷に浸るのではなく、すでにその目は『いかに活躍できるか』に向いている。