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ラスト4回の攻撃機会、すべて自分で決める剛腕ぶり

3月7日、プレーオフ進出の当落線上にいるナゲッツはキャバリアーズと対戦。1つの勝ち負けがチームの命運を分ける状況に、チーム一丸となって奮起。ほとんどの時間でビハインドを背負いながら粘り強く戦い続けた。

ナゲッツの奮闘を象徴したのがニコラ・ヨキッチ。インサイドでキャブズの選手を圧倒するフィジカルを持ちながらパワー頼みにならず、フィニッシュの場面では多彩さと精度を見せ、36得点13リバウンドを記録した。

「みんなプレーオフのことばかり言うけど、目の前の試合に集中することが必要だ」と語るヨキッチは、その言葉どおり地に足のついたパフォーマンスを見せ、これに引っ張られたナゲッツは第4クォーターになって逆転に成功。その後は1ポゼッション差で試合が進むも、勢いで上回るナゲッツに勝機はあった。

ところが、それを阻んだのが『キング』レブロン・ジェームズだった。残り2分を切ったところで104-102とキャブズが2点リード。ここからはすべての攻めを担うレブロンの独壇場だった。

まずは残り1分40秒、ウィルソン・チャンドラーをかわしてのアタックで、インサイドで待ち構えるヨキッチとポール・ミルサップを吹き飛ばしてシュートをねじ込む。次のポゼッションでは先ほどのプレーでドライブを警戒し腰の引けたディフェンスを見透かすかのように、迷わず3ポイントシュートを放って決めてみせた。

残り1分を切り、あきらめないナゲッツはミルサップの得点で再び1ポゼッション差に迫る。だが、レブロンはビッグプレーを連発したばかりだというのに、その上を行った。再びチャンドラーをかわしてアタック、今度はヨキッチとチャンドラーが挟み込んで対応するが、レブロンはその圧をかわしながらフェイダウェイ・ジャンプシュートを沈めた。

そして残り10秒、またもチャンドラーのプレッシャーを受けながらドライブ。今度こそはとチャンドラーはペイント内にアタックさせずベースラインへと追いやるが、レブロンは構わずに再びフェイダウェイを放ち、ねじ込んだ。

結果、113-108でキャブズが勝利。レブロンは39得点8リバウンド10アシストを記録したが、スタッツよりもラスト2分で4回あったキャブズの攻撃機会、そのすべてをスーパープレーで得点につなげたパフォーマンスのインパクトが強かった。この間、ナゲッツも粘って得点していたのだが、これでは逆転できない。

最高のプレーをしながら勝利を逃したヨキッチだが、「あれがこのリーグで最高のプレーヤーだという理由だよ」と『キング』に脱帽するしかなかった。

また、レブロンのモンスター級のパフォーマンスを目の当たりにしたラリー・ナンスJr.は、特に最後の2本のフェイダウェイについてナゲッツに同情する。「リングから遠ざけて、ターンさせて打たせる。あれはディフェンダーがそう仕向けるもので、コーチが『打たせろ』という類のシュートだ。ナゲッツには悪いけど、信じられないプレーだった」

レブロンは一連のプレーについて「ゲームを締めなきゃいけない時間帯で、勝つために必要なプレーだった。相手を振りほどくことができたよ」と満足気に説明した。