後半にファジーカスが爆発し、横浜を圧倒
3月4日、川崎ブレイブサンダースが敵地の横浜国際プールで横浜ビー・コルセーアズと対戦。30点差で圧勝した前日とは一転、前半はリードを許す展開となるも後半に大量点を挙げて91-80で逆転勝ちを収め、今シーズン最初で最後の神奈川ダービーを連勝で終えている。
3日の試合、川崎は第1クォーターで35-17と大差をつけてそのまま押し切った。しかし、今日は横浜が前日は違ってタフな守備を見せて6つのターンオーバーを誘発し、川崎の21-20と五分で終える。第2クォーターに入っても横浜は5つのターンオーバーを奪うなど守備の強度をキープ。攻撃ではハシーム・サビート・マンカがこのクォーターだけで11得点と奮闘し、横浜の40-37で試合を折り返す。
だが、第3クォーターに入ると今度は川崎がこのクォーターで7ターンオーバー奪取を記録するなど激しい守備を見せる。そして、素早い攻守の切り替えからイージーシュートの場面を次々と作り出し、ニック・ファジーカスがシュートを決める得意の展開に持ち込む。第3クォーターのみで15得点を挙げたファジーカスの活躍もあって、川崎は64-59と逆転に成功する。そして第4クォーター開始1分にジョシュ・デービスの得点でリードを2桁に広げると、その後も危なげない試合運びでリードを保ち続けて神奈川対決を制した。
リバウンド争いの行方が試合の展開を左右する
川崎の北卓也ヘッドコーチは、「昨日とは横浜さんのディフェンスのプレッシャーが全く違いました。それでボールが思うように回らずに孤立し、なかなか良いシュートを打てなかった。また、ゲーム開始にターンオーバーを続けてしまっており、ああいう入り方をしたら相手に勢いを与えてしまいます」と、苦戦した前半の戦いについて振り返る。
しかし、そこから後半に突き放せた要因については次のように見ている。「後半が始まる前、相手は守備でプレッシャーをかけているので、アタックしていけばマークのズレができると話をしました。また、横浜さんのディフェンスの足が止まって、そこで第3クォーターに走れてリードを奪えたのかと思います」
この試合、川崎はファジーカスが26得点、ジョシュ・デービスが19得点、辻直人が14得点をマーク。そして、オフェンスリバウンドを22本とディフェンスリバウンド(21本)多く記録するなど、リバウンド争いを制したのが大きかった。
また、鎌田裕也が、第2クォーターでの6得点を含む10得点4リバウンド3アシスト。さらに野本建吾も5得点で続いたように、オン・ザ・コート「1」の日本人4番ポジションの活躍も光った。
今シーズン開幕前、川崎はマドゥの愛称で知られた帰化選手のジュフ磨々道が引退し、日本人4番ポジションの弱体化が懸念されていた。実際、シーズンが始まると磨々道の抜けた穴は大きいと感じざるを得ない試合も少なからずあった。だが、今回の連戦はオン・ザ・コートの外国籍起用数が同じ、横浜は帰化選手もいないという五分の状況の中で、鎌田&野本の日本人4番コンビはしっかり結果を残した。
鎌田と野本、日本人パワーフォワードの成長が光る
この2人のパフォーマンスについて北ヘッドコーチは「まだまだ成長しなければいけない」と語る一方で、今節においては評価を与えた。「今日、第2クォーターの苦しい場面でよくつないだのは鎌田でした。昨日は野本がダイブしてそこにボールが入ってからのキックアウトから良いシュートという形が見られました。また、リバウンドに鎌田がよく絡み、セカンドチャンスを何本か与えてくれました」
「やはり帰化選手、代表選手と対等に戦ってもらえるようにならないとは常に言っています。徐々にですけど、自信をつけ周りを見られるようにはなってきています。じっくり試合で使い、アシスタントコーチとの日々の練習で課題を改善し少しずつ身になってきています。2人のプレーについてはうれしい2日間でした」
そして、篠山竜青にも2人ついて尋ねると、「成長してきていますが、僕たちが狙っているのは日本一なのでまだまだです。記事としてはつまらないと思いますが(笑)、半々といったところです。ただ、持っているものは素晴らしいです」と語る。
ニック・ファジーカスという絶対的なエース、日本代表の司令塔である篠山竜青、爆発力を持ったシューターの辻直人が『スリーキングス』として君臨。そして、3番ポジションにはエースストッパーの守備力を持つ長谷川技に栗原貴宏、またリーグ屈指のシックスマンである藤井祐眞を擁する川崎において、やはり日本人4番ポジションをどれだけ底上げできるかこそが、チャンピオンシップに向けての鍵となってくるだろう。
鎌田と野本のコンビが、「マドゥがいれば……」という声を封じ込めるパフォーマンスを見せてくれるのか。レギュラーシーズン残り20試合における川崎の大きな注目ポイントとしたい。