マイケル・ジョーダン

ミスを繰り返す選手がいたら「躊躇せずに指摘しろ」

7月末から再開される予定の2019-20シーズンは、22チームで優勝が争われるフォーマットになった。再開プランから外れた8チームは、2020-21シーズン開幕時期とされる12月まで長いオフとなる。これだけ長く公式戦がないとなれば、若い選手を多く抱える球団にとってのダメージは計り知れない。だが、状況が状況だけにどのチームもリーグの判断を尊重し、受け入れた。

ホーネッツもプランから外れたチームの一つ。ホーネッツはシーズン中断前の時点で東カンファレンス9位のウィザーズとわずか1.5ゲーム差であり、まだプレーオフ進出の可能性はわずかながら残されていた。もしリーグ再開に組み込まれていたら、プレーオフ進出最後の枠を争うプレーイン・トーナメントに駒を進められる希望もあっただけに、本心では悔しいはずだ。

そのホーネッツの筆頭オーナー、マイケル・ジョーダンは、若い選手が多いチームに「優勝するための心得」を指南している。現役時代にブルズで2度のスリーピート(3連覇)達成という伝説を残したジョーダンからのメッセージは、シンプルなものだった。

ジョーダンとのリモートミーティングに出席したデボンテ・グラハムは、練習中にミスを繰り返すチームメートがいたら「躊躇せずに指摘しろ。それがチームのレベルアップに繋がる」と言われたことを明かす。「彼からは、『絆が強いチームの方が強い。何も言わずに仲間が何度も同じミスを繰り返して負け続けるより、指摘する方が相手をリスペクトしていることになる』と言われた」

ジョーダンが球団の筆頭オーナーになって10年が経つものの、ホーネッツはコートで結果を残せていない。1997-98シーズンのブルズと彼に密着したドキュメンタリー作品『The Last Dance』を見ても分かるように、現役時代の彼は練習からチームメートに100%の本気を求めた。ホーネッツの選手たちに伝えた『指摘』という表現に収まらない激しい叱責も日常茶飯事だったようだ。

『The Last Dance』を見たテリー・ロジアーは、もし当時のブルズに所属していたら、ジョーダンと殴り合いの喧嘩をしていたかもしれないと話す。「僕ならスティーブ・カーと同じ対応をしたかもね。それだけ負けん気が強いから」

「やり方は2つある。まずはチームメートのことを理解すること。目の前で何かを言われるのを好まない選手もいるし、そういう選手にはみんなが見ていない場所で指摘してあげる必要がある。だから、チームメートの個性を把握して、どのタイミングで指摘するかが大事。そうすれば後味が悪くなることもない」

それでも、あのマイケル・ジョーダンがどんな質問にも答えてくれるのは、ホーネッツの選手にとってアドバンテージでしかない。コディ・ゼラーは「ウチにはプレーオフを経験していない選手も多い。だから、プレーオフでどういうところに集中すべきかを教えてもらえてうれしかった」と語る。

プランから外れた8チームのため、NBAがサマーリーグのような実戦経験を積むための試合を用意するとも噂されているが、来シーズンのホーネッツが飛躍を遂げるためには、チーム内の絆は欠かせない要素だ。来シーズンはオーナーからの激励を生かして、文句なしの戦績でプレーオフに勝ち進んでもらいたい。