守備の意識が名古屋Dに試合の主導権を引き寄せる
富山グラウジーズvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズの中地区2位攻防戦。前半は拮抗するも、後半にディフェンスからリズムをつかんだ名古屋Dが21点差の快勝を収めた。
先手を取ったのは名古屋D。笹山貴哉の3ポイントシュートで先制すると、外角シュートの精度が上がらない富山を尻目に、安藤周人やジャスティン・バーレルが加点し、開始3分で9-2と先行した。それでも富山はすぐに巻き返す。宇都直輝のミドルシュート、上江田勇樹の3ポイントシュートなど外のシュートが当たり始めて追い付くと、デクスター・ピットマンがインサイドで加点し、17-14と逆転して第1クォーターを終えた。
第2クォーターから富山は新加入のクリント・チャップマンを起用。そのチャップマンは残り6分に3ポイントシュートで富山での初得点を記録し会場を沸かせた。しかし、その後はインサイドを絞った名古屋Dの守備に得点が止まってしまい、ジャスティン・バーレルにジェロウム・ティルマンと外国籍選手のパフォーマンスで上回った名古屋Dが37-34と逆転して前半を終えた。
後半は完全な名古屋ペースに。インサイドへのパスコースを遮断し、逆サイドからのヘルプでペイントエリアでの失点を防ぐ。外角が安定しない富山はそれでもインサイドを強調しようとするが、名古屋の包囲網につかまっては速攻を許した。
追い上げたい富山だったが、最終クォーターに入っても確率の悪い外角からタフショットを打たされてオフェンスでリズムに乗れず、ディフェンスでもロングリバウンドを何度も名古屋に拾われ、セカンドチャンスポイントを連続で与えてしまう。
残り5分37秒、中東泰斗のオフェンスリバウンドからティルマンのレイアップにつなげ70-51。これで勝負はほぼ決した。その後も主導権を渡さず落ち着いて時計を進めた名古屋Dが最終スコア84-63で勝利している。
「シンプルなことを集中力を切らさず戦えた」
勝利した名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「40分間チームディフェンスを徹底してくれたことが勝利につながった。ディフェンスやリバウンドを頑張って、シンプルなことを集中力を切らさず戦えたことが勝因だったと思います」と試合を振り返る。
ディフェンスに難のある名古屋だったが、昨日の試合ではインサイドを絞り、ボールをよく手にかけるシーンが多々見られるなど、守備意識の高さが目立った。特に最終クォーターでは富山の2点シュートの確率を35.3%に封じた。
敗れた富山のミオドラグ・ライコビッチヘッドコーチは「出場した日本人選手6名あわせて、3名が0得点、残りの3名で6得点しか取れていなかったこと、これは十分でないです。ベンチメンバーには流れを変えてくれる役割を期待しています」と敗因を語った。
またこの試合がデビューとなったチャップマンについては「奮闘してくれましたけど、まだまだ調整が必要。練習でもっとチームに馴染んでいけば勝利に貢献してくれる選手だと思っています」と今後に期待。チャップマンはピットマン、宇都に次ぐ12得点を挙げたが、チーム合流から間もないこともあって連携ミスが多く、課題を残す結果となった。
名古屋Dはアウェーで貴重な勝利を手にし、中地区2位の座をキープした。リーグトップクラスのオフェンス力を持つだけに、ディフェンスでこの試合のような集中力を保つことができれば、チャンピオンシップへの扉は自ずと開くはずだ。