文・写真=鈴木栄一

第3クォーター開始から怒涛の連続得点で逆転

3月3日、琉球ゴールデンキングスがホームの沖縄市体育館で大阪エヴェッサと対戦。前半わずか19得点とオフェンスで苦しむも、第3クォーターに27-7と圧倒し、60-52と見事な逆転勝利を収めた。これで琉球は連勝を6に伸ばしている。

第1クォーター、ともに相手のディフェンスを崩せず大阪の10-9とロースコアの展開となる。しかし、第2クォーターに入ると、大阪は引き続き琉球の攻撃を封じ、デイビッド・ウェアのシュートなどで加点。終了間際に熊谷尚也が3ポイントを沈め、27-19とリードして前半を終えた。

それでも第3クォーターに入ると、琉球が本領を発揮する。岸本隆一のレイアップ、田代直希の3ポイントシュートといきなりの連続得点で流れを引き寄せると、残り約6分半に石崎巧がバスケット・カウント。後半開始から怒涛の10連続得点で一気に逆転する。

その後、大阪も一旦は踏ん張りを見せるが、琉球の勢いは止まらず。残り約4分から古川孝敏、二ノ宮康平が連続で沈めるなど、前半では計18本中成功2本のみだった3ポイントシュートが、このクォーターでは7本中4本成功。そして、守っては大阪のシュート成功を12本中1本成功に封じるなど圧倒。このクォーターで46-34とひっくり返す。第4クォーターも琉球の優位は続き、終盤に大阪の追い上げを浴びたものの貯金を生かし、余裕を持って逃げ切った。

琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、第3クォーターの猛攻をもたらした要因として、縦への動きを挙げる。「前半は縦への動きが不足していました。ボールを持っている人だけでなく、持っていない人もリバウンドを取り行くなど、ゴール近くでプレーできていなかった。そのため得意なアウトサイドのプレーも出てこなかった。そういう中で第3クォーターの最初、田代がドライブしてくれたり、ヒルトンが味方のカット(ゴールに向かう動き)に対してパスを出してくれた。そういうプレーでスイッチが入り、チームとして縦の意識が強くなりました」

第1戦の不出来を払拭した二ノ宮康平

また、指揮官は、7得点5アシストとベンチスタートから効果的なプレーを見せた二ノ宮康平についても言及。「最近は安定しない部分があり、彼なりにキツかったと思います。正直に言って昨日の出来は悪かったです。彼も悔しくて、試合後に練習しているのも見ていました。彼の良さは前からディフェンスすることで、今日はしっかりディフェンスをし、オフェンスではチャンスで打って決めてくれました」

そして、「今日みたいな仕事を安定して見せてくれると、チームの層も厚くなってきます」と、次節以降の奮闘しても大きな期待を寄せている。

佐々ヘッドコーチが触れたように、第1戦の二ノ宮は約4分半の出場で2得点2ターンオーバーと精彩を欠いていた。それが第2戦では約17分半のプレーで前述の得点とアシストに加え、ターンオーバーなし。

2018年に入ってからはベストと言えるパフォーマンスを見せた二ノ宮は、自身の役割を次のように意識している。「チームの勝利のために何でもやることが前提にあります。その上で、自分がシュートを入れたいという思いが強すぎる時期もちょっとありました。そこを最近は、周りをどううまく動かすか、気持ち良くプレーさせるかに重きを置いています。それでもガードはボールを持っている時間が長いので、シュートチャンスは絶対に来ます。そこでしっかり決め切れるようにしていきたいです」

勝機がありながら連敗、オフェンスの終わり方に課題

大阪は欠場の木下博之に代わって先発出場の藤高宗一郎が8得点。また、前日は2得点のウェアが13得点と奮闘。しかし、逆に前日は2人合わせて37得点を稼いだエグゼビア・ギブソン、キース・ベンソンのツインタワーが12得点のみと沈黙したのが痛かった。

桶谷大ヘッドコーチはオフェンスの終わり方を課題に挙げる。「ディフェンスでは昨日の課題の修正はできていました。ただ、オフェンスの面でペイントをしっかり守ってくる相手に対し、自分たちが強引に攻めすぎてしまった。アタックするのは良いのですが、そこから相手のヘルプをしっかり見てボールを外にさばくなどの状況判断が悪かったです」

「第3クォーターにビッグクォーターを作られてしまいました。それはディフェンスというより、オフェンスの終わり方が悪いことで、走られて一気に点を取られてしまった。40分間いかにしっかりとオフェンスを終えるのか、そこが2試合通しての課題となりました」

両日ともに前半は五分五分、もしくは大阪の流れだったのが、後半に大きな差が出て琉球の連勝で終わった。何よりも流れが悪い時に、どれだけ我慢できるのか。そこが明暗を分ける大きな差であったと感じた2日間だった。

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