写真=Getty Images

『その時に自分がどう感じるか』を見てみたい

今シーズン開幕前にブルズとの契約バイアウトを成立させ、ベテラン最低保証額でキャバリアーズと1年契約を結んだドウェイン・ウェイド。すべては、『盟友』レブロン・ジェームズとの再タッグ結成、そしてキャリア4回目の優勝を果たすためだった。

開幕後に自らベンチ出場を受け入れ、キャブズのセカンドユニットを引っ張る決意を見せたウェイドだったが、大幅にメンバーを入れ替えたチームは最後まで機能しなかった。そしてトレードデッドラインの2月8日、キャブズはアイザイア・トーマス、ウェイド、デリック・ローズといった多数の選手を放出し、レブロン中心のロスターに刷新することを決断し、このタイミングでウェイドもキャブズを離れることになった。

もっとも、ウェイドにとって今回のヒート復帰は渡りに船だったとも言える。ブルズに移籍した2016年夏以降、何度となくNBA選手としての自分を育ててくれた古巣への思いを口にし、家族が暮らす土地に戻りたいと示唆していたからだ。

ヒートに戻ったウェイドを、マイアミのファンも温かく迎えた。やはりヒートはウェイドのチーム。そう思わせるだけのカリスマ性は消えていない。2月27日のセブンティシクサーズ戦ではシーズンハイの27得点を記録した他、終了直前には決勝点となるジャンプシュートを成功させるなど、勝負強さも健在だ。しかし、36歳のウェイドは、終わりの時が近づいていることも実感している。先日、『Miami Herald』にこんな考えを明かした。

「どうなるか分からないけど、今シーズンが終わったら考えようと思う。周りにも、そう言っているんだ。こういう気持ちで夏を迎えるのは初めて。これまではフリーエージェントの権利を得たり、契約を破棄して異なる条件で契約を結ぶことを考えていたけど、今年の夏には『その時に自分がどう感じるか』を見てみたい。球団のことも考慮しないといけない。何も不安はないんだ。どういう結論を出すにしても、それで構わない。自分で決めるつもりだよ」

現在ヒートは東カンファレンス8位だが、9位ピストンズとはわずか3ゲーム差しかない。今シーズン残り試合の行方、プレーオフに進出できるかどうかはもちろんのこと以外にも、若い選手が多いヒートで託される役割を材料に、ウェイドは今後のことを考えるのだろう。

オフには再びフリーエージェントになるが、ブルズ、キャブズを経てマイアミに戻ったウェイドが、また他チームに移籍するとは考えにくい。今夏ウェイドが下す決断は、ヒートとの再契約か、現役引退のどちらかになりそうだ。

スタッツだけを見れば、今シーズンはキャリア最低の平均11.5得点にとどまっている。これは、キャブズで出場時間が減るセカンドユニットに回ることを自ら志願した影響もあるだろうが、ウェイドにも『Father Time』がやってきたのは確かだ。今シーズンを最後にコートを去るのか、それとも一念発起して若手を引っ張ることにモチベーションを見いだすのか、ウェイドの決断に注目が集まる。