杉浦佑成

世代別代表に選出され、筑波大でインカレ3連覇を成し遂げた杉浦佑成は特別指定選手として入団したサンロッカーズ渋谷でプロキャリアをスタートさせた。チーム内では今シーズンは天皇杯優勝をもたらすなど、充実したシーズンを送っていた。それだけに、島根スサノオマジックへの移籍は衝撃を与えた。

平均15.9分「そこまで出ている感じがしなかった」

──島根に移籍したニュースには驚きました。移籍の理由を教えてください。そもそもSR渋谷を出る思いはあったのですか?

このままでいいのかなっていう思いはありました。勝って楽しかったという充実感ももちろんあったんですけど、試合にもっと出たいという思いもありました。競争があるので、移籍すればたくさんプレーできるわけじゃないですけど、必要としてくれていると感じたので決めました。

──タイムシェアを徹底しているSR渋谷でローテーションに入り、今シーズンは平均15.9分のプレータイムでした。

数字ほど出ている感じがしなかったんです。それはコートに出る時間帯だったり、プレータイムが少ない試合があったことが影響しているとは思います。感覚的には12、3分くらいの感覚です。15.9分と今聞いて「そんなに出てたんだ」という感じです。第4クォーターの終盤のような、大事な時間帯で試合にもっと絡みたい。渋谷でそういう時間がなかったわけじゃないですが、もっと自分が勝たせられるような選手になりたい思いが強かったです。

──特別指定から数えて4シーズンを過ごしたSR渋谷には思い入れもあると思います。印象に残っていることは何でしょうか?

もともと4番をやっていて、そこからポジションが上がっていく中で先輩やコーチにいろいろと教えていただきました。今シーズンは天皇杯で優勝できたので、それが一番印象的ですね。今シーズンから加入した石井(講祐)さんを近くで見て、心が整っているというか、メンタルの持ちようがすごいと思いました。中には全く緊張しない人もいると思うんですけど、僕はそういうタイプではないので。石井さんも最初はそうだったと言っていて、心の在り方を教えてもらいました。

──あらためて、SR渋谷のファンへの思いを聞かせてください。

僕に対してもチームに対しても、「何やってんだ」と思うこともあったと思います。それでもSR渋谷のファンは優しくて、いつでも「頑張れ」と言ってくれました。本当に温かいチームでしたし、とても感謝しています。

杉浦佑成

馬場を見て「後悔しない決断をしなきゃと思いました」

──新天地となる島根は環境面ではSR渋谷には劣ると思いますし、タイトルを目指すというよりまずは西地区で足場を固める立ち位置のチームです。そういった面で不安はなかったですか?

少なからず不安はありましたし、悩みもしました。でも、試合に出て結果を残すことが自分の優先順位の中で一番だったので。

──自分が牽引する責任を負いたいということですね。大学のチームメートだった馬場雄大選手が「遠回りかどうか決めるのは自分。歩みは止めない」とツイートし、杉浦選手も反応していましたね。

良いこと言ってるなって。俺も目標に向かって頑張ろうと思いました。さっきも「このままでいいのか」という話をしましたが、ああやってどんどん挑戦していく雄大を見て、日本代表で一緒にプレーしたいと刺激を受けたし、僕も後悔しない決断をしなきゃと思いました。「そんな選手もいたね」で終わりたくないですし、僕も今年で25歳なので勝負の年を迎えた気持ちでいます。

──島根ではチームを勝たせるためのプレーが求められます。どんなプレーをして、数字的な目標はどこに置きますか。

最低2桁、12点くらい取りたいです、今シーズンはリバウンドも意識するようになって、自分の強みを生かせる部分だと感じたので、外国籍選手に任せるのではなく自分も取りに行きたいですね。以前に比べてシュートを積極的に狙えるようになったので、あとはフィニッシュだけじゃなくて、ドライブからのパスの精度を高めたいです。ピック&ロールからのクリエイトもできるようになりたいですね。

──2番から4番までできるオールラウンド性が杉浦選手の魅力の一つかと思いますが、どのポジションでやるイメージですか?

サイズが関係ない状況であればやり慣れているのは4番なんですけど、SR渋谷で3番にチャレンジさせてもらって、徐々に身に着いてきました。3番をやりたいと思ってましたけど、できれば2番で使いたいとも言われているので、よりボールに絡む機会が増えるかと思います。

──あらためて大きな決断をして迎える新シーズンはどんな気持ちでしょうか。

もちろんワクワクする気持ちもありますが、以前「勝てないのは本当にしんどいぞ」って言われたことがあって、そうした不安も少なからずあります。そうならないためにも頑張らないといけません。

──では最後に新シーズンへの意気込みをお願いします。

ディフェンスをやらないとバスケは勝てないと思っています。SR渋谷でディフェンスをたくさん学んだので、それを継続しつつ得点力も見せていきたいです。今シーズンの島根は11勝だったんですけど、チャンピオンシップ出場を目標に頑張りたいと思っています。