川崎ブレイブサンダースを変革する師弟コンビ、北卓也&佐藤賢次(後編)「今は力を蓄えている感じです」

川崎ブレイブサンダースを変革する師弟コンビ、北卓也&佐藤賢次(後編)「今は力を蓄えている感じです」

2020/06/10

佐藤賢次

今シーズンの川崎ブレイブサンダースは、Bリーグで31勝9敗と中地区トップ、また天皇杯では決勝進出を果たし、リーグ随一の優勝候補の地位を取り戻した。この復活の第一歩は北卓也がクラブ史上初のGMに就任したことにあり、コーチ陣、選手ともにこれまでにない積極的な補強が行われた。この陣容を、新ヘッドコーチの佐藤賢次がしっかりまとめ上げたことでチームは勢いを取り戻した。新体制1年目としては順調なスタートを切った師弟コンビが、変革のシーズンを振り返る。

「昨シーズンに作ったベースをより高めていく」

──今オフの川崎は、2019-20シーズンの主力選手たちの再契約を早々に発表しました。Bリーグになって選手の移籍は活発となりましたが、それでも川崎は初年度から日本人の主力組の流出がありません。ここにはどんな要因があるのでしょうか。

北 主力がこうして残ってくれているのは、チームへの愛着もあるでしょう。GMになって1年で分からないこともまだまだありますが、多くの選手たちとはヘッドコーチ時代からの付き合いで、以前の東芝時から関係していた方々との信頼関係が築けているとも思っています。それに元沢伸夫社長と選手との関係も良好だと思います。もちろん報酬もありますが、クラブミッションである 『MAKE THE FUTURE OF BASKETBALL』 に共感して、川崎で優勝したい、川崎を優勝させたい、と思う選手たちだからではないでしょうか。

──佐藤さんは、主力が揃って残ったことをどう感じていますか。継続性をもってやれることに安堵感はありますか。

佐藤 北さんとは、今も何かあったら意見を伝えるなど常に話を共有しています。今の段階でこうしてメンバーの大半が決まって、次のプランを立てやすいのでありがたいです。2019-20シーズンは途中で終わってしまったので、チームの将来的な戦略もあるにせよ「同じメンバーでやりたい」という気持ちもありました。新シーズンに向けて、核となる選手は残ってくれているので、2019-20シーズンに作ったベースをより高めていくことにチャレンジしていく。残りの選手補強については北さんにお任せしています。

──コロナ禍によって、実際にアメリカに行って選手を視察するのが難しいです。外国籍選手の獲得はどうしますか。

北 私がヘッドコーチだった時は、獲得前に実際に会って話をしていました。できれば会いたいですが、それが無理なら仕方ないです。今はオンラインで気軽に話せるので助かっています。それに昨シーズンのJ(ジョーダン・ヒース)とマティアス(カルファニ)もオンラインで話しただけで獲得しましたが、2人とも性格は良く、川崎にすごく合う選手だと手応えはありました。

──ヒース、カルファニとも見事な活躍でしたが、佐藤さんは2人と最初に会った時、どんな印象でしたか。

佐藤 チームに合流してすぐの時は、当たり前ですけど2人ともコンディションは良くはなかったです。Jはゴール下のシュートをポロポロ外していて、あんなに走ってもいませんでした。マティアスは練習でドライブに行くと、足がついていかずによく転んでいて、大丈夫かなと思っていました(笑)。ただ、2人とも素晴らしい性格だし、練習に取り組む姿勢を見ていれば絶対に良くなると感じていたので心配はしていなかったです。バスケはチームスポーツなので性格が本当に大事です。外国籍選手の獲得において、試合の映像を見る際には交代してベンチに向かう時の姿、ベンチに座っている様子には注目しています。

佐藤賢次

「GMとヘッドコーチ、まだまだやりながら改善していく」

──お2人の関係は現役時代も含めて20年近くと長いですが、GMとヘッドコーチになって変わった部分はありますか。

佐藤 接し方は変わりません。ただ、アシスタントコーチの時は、最終的な決断は北さんにという形だったのが、ヘッドコーチになると自分で決めなければいけない。ともに決定に責任を担う立場となったことで、何かを決める時に「こうしたい」と話すことが増えたのは変化だと思います。

北 2人とも役割は変わりましたけど、何かあればコミュニケーションを取るという形は変わらないです。特に衝突もないのですが、GMとヘッドコーチという関係においては、まだまだやりながら改善していきます。

──まだまだオフシーズンは長いですが、今は何に取り組んでいるところですか。

北 外国籍選手などチーム編成はまだ終わっていません。いつからチーム練習ができるのか、そういった調整の部分もあります。

佐藤 チームをより良くするために何が必要なのか、スタッフのミーティングをどうしていくのか。選手にはどんな言葉をかけたらいいのか、いろいろな動画を見たり、本を読んだりして力を蓄えている感じです。今後シーズンが始まってもお客さんを入れることができるのか、どういう状況になるのか分からない。こういう時だからこそファンの皆さんに試合を見せること以外で、何か喜んでもらえることはないのか。コーチとして何かできることはないのか。まだアイデアは全く固まっていないですけど、考えています。

──ちなみに川崎の試合以外で、バスケットボールを見たりしていますか。

佐藤 過去の試合も結構、見ています。そしてJBAに(グレッグ)ポポビッチさんとか、いろいろなコーチのクリニック動画が上がっているのを見ていますし、マイケル・ジョーダンの『The Last Dance』も見ました。

北 私も『The Last Dance』は見たのですが、GMが悪役として描かれているので立場的に大変だなと思ってしまいますね。優勝が目標でも、チームの中長期的なことも考えるのがGMですから、勝っていても将来に向けての決断をしないといけないのは難しいです。

──『奈良のマイケル・ジョーダン』と呼ばれた佐藤さんのラストダンスは?

佐藤 東日本大震災の影響で、シーズン途中の打ち切りでした……。

──あらためて、お互いに立場を変えて最初のシーズンの働きぶりをどのように見ていたのか教えてください。

北 先ほども言った通り、1年目ながらよくやってくれました。ただ、チャンピオンシップという本当の勝負どころを経験できなかったのは、仕方のないことですけど残念です。それができていたら、もっと成長できたと思います。それでもこの1年の経験で引き出しも増えましたし、新シーズンは川崎をBリーグ初の優勝に導いてほしいです。

佐藤 頑張ります。このチームにGMができたのは1年目で、お互いの関係は変わらない中でも探り探りやっていた部分はありました。そして、事業部門との調整など見えないところで現場を守ってくれていると感じていました。そこには本当に感謝しています。

──最後、ファンへのメッセージをお願いします。

佐藤 自粛されている方だけでなく、もしかしたら医療現場の最前線で頑張ってくれている方もいらっしゃると思います。今、スポーツは本来の力を出せていませんが、とどろきアリーナにもいずれ必ず本来の輝きは戻って来ます。その時に自分たちのプレーをしっかりと見せられるように、今は力を蓄えていきます。とどろきでまた最高のバスケットボールをお見せできるように準備をしていきますので、楽しみにしていてほしいです。

北 大変な状況が続いていますが、これを頑張って打破しましょう。この危機を乗り切ることで、川崎ブレイブサンダースとして川崎、そして日本のバスケットボールをさらに盛り上げていけるチャンスをとらえています。ファンの皆さんには、再開を楽しみにしていてもらいです。新シーズンもよろしくお願いいたします。

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