グレッグ・ポポビッチ

「抗議デモは必要だが、きちんと組織化する必要がある」

アメリカでは5月25日に警察官に拘束された黒人男性が膝で首を押さえられ死亡した事件をきっかけに各地で抗議デモが行われており、一部の参加者が暴徒化し破壊行為や略奪が起きている。

スパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチは『The Nation』でのインタビューで全米各地で行われているこの抗議活動に言及した。「警察官による暴力と人種差別は今回だけでなく、これまでも起こってきたにも関わらず何も変わっていないという印象だ。抗議活動が過激化しているのはそれが理由だ。リーダーシップと問題の理解がなければ変わることは決してない。白人のアメリカ人がこの問題をこれまで避けてきたのは、避けることができる特権を与えられているからだ。この点も変わる必要がある」

ポポビッチはトランプ大統領を危機的状況下でのリーダーシップに欠けるとして批判したが、彼1人の問題でもないと話した。

「今やるべきことははっきりしている。大統領が公の場で『黒人の命も大切だ(black lives matter)』と言うことだ。その3語を言えばいいだけだ。でもトランプ大統領はそうしないし、できないだろう。なぜなら彼の愚行を正当化してくれる数少ない支持者をなだめることの方が重要だからだ。だが、これはトランプ大統領だけの問題ではない。制度を変える必要がある」

そして、ポポビッチは抗議デモに関してはただ集まるだけではなく組織化することが重要だと主張した。

「抗議デモは必要だが、きちんと組織化する必要がある。フラストレーションが溜まるよ。キング牧師が抗議活動を行っていた時代は、何時に集まって次の日何時に戻ってくるか分かっていた。デモを計画しても参加者が好き勝手に行ったり来たりするようでは成功しない。非暴力でやるなら参加者にはそのことを知らせなければいけないが、うやむやになっている」

『ESPN』によると、ポポビッチはウォリアーズのスティーブ・カー、ホークスのロイド・ピアースらと共に全米コーチ協会が設立した人種的不公平および改革委員会の委員に選出されているという。ポポビッチのように影響力のある人間の言葉によって、この事態が少しでも終息することを願うばかりだ。