コービーがレブロンやジョージの獲得の『決め手』に?
レイカーズは今夏、名門再建の決め手として大物フリーエージェント選手の獲得を狙っている。マジック・ジョンソン、コービー・ブライアントの後継者に相応しく、現在の『ヤング・レイカーズ』を導くだけのリーダーシップ、名門に相応しいカリスマ性を持った選手の獲得が望ましい。
そう考えると、レイカーズがターゲットに掲げる選手は限られてくる。レブロン・ジェームズ、あるいはポール・ジョージ……。しかし、レブロンやジョージがフリーエージェントになれば、ほぼ全チームが獲得に動くことが予想される。移籍を決める最後の一押しになる要因があるとすれば、球団レジェンドからの勧誘だ。レイカーズでいえば、球団社長のマジック、そして引退後第二の人生を謳歌しているコービー、ということになる。
だがコービーは、レイカーズのために選手勧誘に乗り出す必要はないとの意思を明らかにした。その理由は、名門を20年間も背負い続けた彼ならではのものだった。『ESPN』とのインタビューで「この球団は、勧誘してまで選手を獲得すべきではない」と語ったのだ。
「この球団でプレーしたいと思うのは、レイカーズでプレーする上でついて回る重圧に耐えられる特別な選手。マジックや僕の足跡、これまでの球団史で見られた王朝時代を引き継ぐのだから、特別な選手でなければならない。もし俺の誘いを理由に球団のレガシーを引き継ぐなんて言う選手なら、それはレイカーズに相応しい選手ではない、ということだよ」
レイカーズは、今オフに大物2選手とマックス契約を結べるだけのサラリーキャップの空きを作った。今シーズンもプレーオフ進出は厳しいだろうが、ロンゾ・ボール、カイル・クーズマ、ブランドン・イングラム、ジュリアス・ランドルといった優れた若手を数多く擁している。ただ、レブロンやジョージ級の選手を獲得しても、それが来シーズンの優勝を確実なものにするとは限らない。
さらに言えば、近年の傾向では大物フリーエージェント選手はすぐに優勝できる環境を求めるもの。数年後の強豪ではなく、その時点ですでにスター選手が揃うチームを選ぶ。
16回の優勝を誇る『レイカーズ・ブランド』は、スター選手にとって誉れ高きものだ。それと同時に、ロサンゼルスという大都市に本拠地を構える名門を引っ張るからには、コート内外での姿勢、パフォーマンス、チームの戦績に関する周囲の期待値も高く、相当な重圧も伴う。コービーが言うように、球団の歴史、格を重んじ、自ら進んで茨の道を進む覚悟を持てる選手は、そうはいない。
コービーは勧誘にかかわることを否定しているが、もしレブロンがその気になれば、最後はレジェンドの一押しが必要になるかもしれない。時期尚早の話ではあるものの、今夏コービーが担う可能性がある役割もまた、特別な存在にしかできない仕事ではないだろうか。