秋田ノーザンハピネッツの野本建吾、生き残るためのチームファースト「今のスタイルに誇りを持ってプレーしている」

秋田ノーザンハピネッツの野本建吾、生き残るためのチームファースト「今のスタイルに誇りを持ってプレーしている」

2020/05/29

野本建吾

川崎ブレイブサンダースでは高いポテンシャルを思うように発揮できなかった野本建吾だが、2018年夏に加入した秋田ノーザンハピネッツではスモールフォワードとパワーフォワードの2つのポジションをこなす万能性、オールラウンドな能力を発揮して、チームが苦しい時にエナジーを注入する役割をこなしている。川崎での経験を糧に、プロ選手として生き残るために『チームファースト』を徹底する野本は、「今を一生懸命生きてバスケットに取り組む」という姿勢に誇りを持っている。

「チームで生きていくために必要なことをノートに書く」

──フレッシュなイメージの強い野本選手ですが、アーリーエントリーを除いてプロキャリアがもう5年、28歳になりました。ここまでのキャリアを振り返りたいのですが、まずは東芝ブレイブサンダース神奈川(現川崎ブレイブサンダース)です。

東芝に入団した1年目は周りのレベルが高く、チームに合わせるので精一杯でした。高校や大学と違って東芝のバスケットは頭をすごく使うし、フォーメーションの中で自分が生きる選択肢を判断しないといけなくて、2年目になった時に「このままではヤバい」と思ってバスケットノートを書くようになったんです。1年目はついていくだけで終わってしまったので、2年目には自分の持ち味を出すため、このチームで生きていくために必要なことをノートに書き始めました。

学生時代は僕がチームの第一オプションのような感じで、好き勝手にプレーさせてもらっていました。ですが東芝はチーム一体で戦うスタイルで、今までみたいなプレーではプロの世界では通用しません。チームプレーの大切さやチームで戦うためのメンタルとか、東芝ではいろいろ勉強させてもらいました。バスケットノートを書くようになって、チームメートの長所や短所とかも勉強して、そこでやっと自分の持ち味の出し方が分かるようになったと思います。バスケットノートは今も続けて書いています。1シーズンに1冊使いきる感じなので、今は5、6冊ありますね。シワシワの状態で家の隅っこに置いてありますよ(笑)。

──バスケットノートは直接的にプレー面の成長に繋がったんですか?

Bリーグ初年度はシーズン中盤からプレータイムも増えて、僕自身としては手応えがありました。バスケットノートはほんの一部にすぎないですが、あれのおかげで成長できたと思っています。ただ、3シーズン目は徐々にプレータイムが減っていきました。原因は分かっていて、自分のことを考える時間が多くなってしまったんです。あの時は4番をしていてオン・ザ・コート1の時間帯で出ることが多かったんですが、一緒にコンビを組む外国籍選手の長所や得意なフォーメーションを理解せずに、自分の動きを優先に考えてしまいました。コンビを組む相手だけでなく、チームメートのことをちゃんと知ることができなかったのが反省点ですね。

野本建吾

「今を一生懸命生きてバスケットに取り組む」

──シーズン中に取材させてもらった時に、野本選手はすごくチームファーストな選手だと感じました。川崎での3シーズンがあったからこそ、今のスタイルに行きついたということですか?

そうですね。昔の考えのまま今もプレーしていたら、いつ退団になってもおかしくないという危機感はあります。プロクラブの中で生き抜いていくためにも、川崎での経験を糧に周りを生かしつつ自分の持ち味を出してどう戦っていくのかを考えています。

川崎での3年と秋田での2年があって、その都度バスケットに対していろいろ考えて取り組んできた軸が今の自分だと思っています。なので、今のチームファーストのスタイルは自分でも誇りに思ってプレーしています。自分の選択を信じて考えて取り組んだ先に新たな自分があるので、今を一生懸命生きてバスケットに取り組むことしか頭にないですね。

──そのポジティブさが野本選手の明るさにも繋がっているのかなと、聞いていて感じます。

そうですね。常にポジティブに明るく取り組んでいると、本当に明るい道が開いてくると思っています。今シーズンは特に自分自身でネガティブさを出さずに、「絶対できる」とポジティブに考えて取り組んできました。今シーズンは自分のキャリアの中でも一番バスケットに真面目に取り組んだシーズンだったと思います。

──話は戻りますが、2018年の夏に川崎から秋田に移籍しました。チームはB1に復帰したばかりで、野本選手にもB1残留というプレッシャーがあったと思います。

プレッシャーはありましたがチームメートが上手くサポートしてくれたので、自分の長所である機動力があるディフェンスもシーズン中盤頃から徐々に生かすことができました。僕だけの力じゃないけど、秋田に来てB1残留を果たせたのはすごくうれしかったですね。チームの結果、イコール自分の成績だと思っているので、手応えもありました。自分も秋田の一員として結果を出したので、そこはイコールで評価して良いと思っています。

──秋田での2シーズン目を終えましたが、プレー面で納得できたところと課題を教えてください。

昨シーズンに比べてスタッツが少し伸びました。3番と4番でプレーしていましたが、オフェンスではアタックで、ディフェンスでは外国籍選手を相手にしても抑えることでチームに貢献できたと思っています。

課題はスペーシングです。僕が出ている時はスペーシングが悪い時があるので、アウトサイドからもポンッと打って決めることができれば自分のディフェンスを外に引き付けられて、他の選手がプレーしやすくなります。そのためにもシュートレンジを広げつつ、スペースを広げられる選手になりたいですね。

野本建吾

「今年は本当に充実したシーズンでした」

──今シーズンは平均プレータイムが13.2分に伸びました。ただ、もっと試合に出たいという欲もあるのでは?

伸ばしたいと思って伸ばせるものではないですが、試合に出るためには何をしたら良いかは常に考えています。バスケットノートの話になりますけど、今シーズンはノート内容にしても秋田の全フォーメーションや12選手の特徴など全部書いていました。対戦相手のこともスカウティングして、「この時間帯でディフェンスが得意なこの選手が出てきたら、ここに注意する」とか。自分で整理するためでもありますが、仲間を生かすために必要なことも書いて実践できていたので、本当に充実したシーズンでした。

──それだけ研究熱心だと、チームメートからアドバイスを求められたりしますか?

僕は自分から「こうしてほしい」というタイプではないですが、要望はもらいます。求められることを整理して、コミュニケーションを取って仲間に提供しているイメージです。そういう感じで今シーズンはできたので本当にやり切った感じでした。

──シーズン自体は途中で終わってしまいましたが、野本選手的にはとても満足できるシーズンだったようですね。

もうこれ以上できません、というぐらいやりました(笑)。

──年齢的にも中堅になってきました。今後、どのような選手になりたいと考えていますか?

昔は「将来有望」とか言われたこともありましたけど、過去は過去、今は今と考えていて、あまり先のことを考えないタイプなんです。今の課題に真剣に取り組んで、その積み重ねによって自分の将来があると思うので、理想像とかは決めていません。

──最後にクレイジーピンクの皆さんにメッセージをお願いします。

今シーズンも応援ありがとうございました。秋田のホームゲームでは毎回すごく響くような声援でいつも元気をもらっていて、「今ここでプレーしているな」と実感が沸くような思いをさせてもらっています。先を見据えずに今やるべきことをしっかりやって、次に繋げていく思いで頑張りたいので来シーズンも応援お願いします。

1件のコメント

  • 佐保めぐみ 佐保めぐみ より:

    シュートレンジを広げるのも、仲間がプレーしやすくなるからと、どこまでもチームファーストな野本選手。とても勉強熱心で、明るいキャラクターですが、移籍当初は初めてだったこともあり、「チームに馴染めるか緊張していました」と明かしてくれました。それでも、仲間に支えられて上手く馴染めたとのこと!

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