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計算できるシューターはニック・ヤングのみ?

リーグ最速で40勝に到達し、今シーズンも西カンファレンスを首位で折り返す可能性が高いウォリアーズ。戦績だけを見れば順風満帆に思えるものの、昨シーズンには見られなかった取りこぼしも少なくない。

1月30日には、敵地でジャズと対戦し、なんと30点差(99-129)の大敗を喫した。82試合もあるレギュラーシーズンの1敗とも考えることもできるが、ステフィン・カリーはチーム内の気の緩みを指摘している。119-104で勝利した2月2日のキングス戦後、カリーは「オールスターブレイクを良い形で迎えるためにも、しっかりやらないと」と、疲労も溜まり集中力が散漫になりやすいこの時期だからこそ、気を引き締める必要があると指摘した。

そんな王者には、一つ気がかりなスタッツもある。ウォリアーズの武器がカリー、クレイ・トンプソン、ケビン・デュラントといった優れたシューターによる高精度の3ポイントシュートなのは言うまでもないが、先発ではなくセカンドユニットの3ポイントシュート成功数は、キングス戦終了時点でリーグ最下位の108本に留まっている。

今シーズン王者の牙城を崩すのではないかと期待されているロケッツもベンチの3ポイントシュート成功数はリーグ12位だが、それでも200本には到達していることを考えれば、ウォリアーズの数字の低さは際立つ。チームスタッツを見ると、セカンドユニットで今シーズン1試合平均0.5本以上の3ポイントシュート成功数をマークしているのは、1.4本を記録しているニック・ヤングのみ。それぞれ役割が異なると言われればそれまでだが、もし先発の誰かに負傷などのアクシデントが発生した場合、弱点になりかねない。

しかし、この傾向は昨シーズンから変わっていない。優勝した昨シーズンにベンチが記録した3ポイントシュート成功数は、リーグ29位の171本だった。これを改善させるため昨夏ヤングとオムリ・カスピを加えてアップグレードしたはずだった。しかしカスピにいたっては1試合の3ポイントシュート試投数が0.5本、成功数はわずか0.2本と期待外れ。もっとも、ヤングもカスピも能力は高い選手だけに、ちょっとしたきっかけで量産体制を整えると言えなくもない。

昨シーズンはデュラントが後半戦に約1カ月離脱しても優勝できた。今シーズンは序盤にドレイモンド・グリーン、昨年末にはカリーが一時戦列を離れても、ウォリアーズは大崩れすることなく乗り切った。だがもしカリー、トンプソン、デュラントを欠く事態になれば、頼るべきは腕利きのセカンドユニットになる。

『スーパーチーム』の脇を固める存在への要求レベルは高く、アンドレ・イグダーラ、ショーン・リビングストン、デイビッド・ウェスト、ジャベール・マギーが昨シーズンのプレーオフで残したインパクトは大きかった。ひょっとすると刀の抜きどころは今ではなく、プレーオフ開幕以降なのかもしれないが、老婆心ながら、オフェンスに関してはパッとしないセカンドユニットの状態が2連覇を阻む最大にして唯一の要因にならないことを願うばかりだ。