強度の高いディフェンスで主導権を握った三遠
三遠ネオフェニックスが豊橋市総合体育館に名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎えた。ここまで14勝18敗で並ぶ両者だが、三遠は得失点差で順位が下。今シーズンは名古屋Dに4戦全敗を喫しており、後半戦巻き返しのきっかけを作るためにも必勝を期していた。
立ち上がりは互いに点を取り合い、リードチェンジを繰り返す展開に。三遠は田渡修人のオープニングショットとなる3ポイントシュートからシュートタッチ良く得点を重ねるが、クレイグ・ブラッキンズにボールを集める名古屋Dのパワフルな攻めを止められない。
それでもブラッキンズに押し負けていたモリソンに代わり太田敦也がマークに付くと、そのシュートが落ち始める。残り2分に鈴木達也の3ポイントシュートで18-16と逆転。太田がディフェンスから流れを呼び込み、23-19と三河が第1クォーターを三遠が取った。
それでも第2クォーター立ち上がり、笹山貴哉が3ポイントシュートを決め、さらには浮かせたパスでジェロウム・ティルマンの速攻をお膳立てして24-23と名古屋Dが逆転。ここで藤田弘輝ヘッドコーチはタイムアウトを要求。緩みを見せた選手たちに喝を入れた。これで三遠はディフェンスのインテンシティが上がり、ウェンデル・ホワイトが強気のアタックを次々と得点につなげてリードを広げ始める。
ブラッキンズ退場を機にワンサイドゲームに
そして第2クォーター残り2分20秒、結果的に勝敗を決する出来事が起きる。鹿野洵生とブラッキンズが衝突して両者にテクニカルファウルがコールされた。ブラッキンズはその前にもジャッジへの不満でテクニカルを受けており、テクニカルファウル2回で退場に。
三遠はロバート・ドジャーを、名古屋Dはジャスティン・バーレルをケガで欠く状況、試合を通じて残る外国籍選手のファウルを抑えることが勝利の前提条件だったが、ブラッキンズはあまりにもあっさり退場となってしまった。対照的に三遠はホワイトもモリソンも前半をファウルなしで乗り切っている。この差が勝敗を決めてしまった。
前半を終えて52-39。後半開始から笹山が7得点2アシストと奮起、3分半で52-60と点差を1桁に縮めるが、ここでも三遠はタイムアウトを機に立ち直る。外国籍選手がティルマンだけになったインサイドばかりを突く単調な攻めを止め、バランスの良いチームオフェンスへと立ち返った。その上で鈴木、岡田慎吾とガードがインサイドで合わせる連続得点で78-58と20点差に。もう名古屋Dに追い上げる力は残っていなかった。
最終クォーターも三遠は手を緩めずに、今シーズン初の100点ゲーム。通算成績で並ぶ名古屋Dとは接戦が予想されたが、終わってみれば103-81と大差がついた。
手痛い負けを喫した名古屋D、明日に勝機を探る
大勝した三遠を率いる藤田ヘッドコーチは「何も変えていません」と、戦術や起用法の変更を否定。守備で踏ん張って勝ちを呼び込む三遠が100点ゲームをした理由を「選手たちが自分たちのオフェンスの大事なところをしっかり遂行してくれた」と説明した。
圧勝のように見えてポイントは第2クォーター立ち上がりで、あそこで名古屋Dの勢いに飲み込まれたら結果は逆になっていたかもしれない。「きちんとやろうと話した。選手たちがすぐレスポンスしてくれた」と、回数の限られるタイムアウトを適切に使った指揮官は選手を称えた。
結果としてワンサイドゲームにはなったが、藤田ヘッドコーチは「名古屋Dは乗せたら怖いチームです」と気を緩めない。同じく名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチも「決して悪いゲームではありませんでした。JB(バーレル)と中東(泰斗)が不在、CB(ブラッキンズ)も欠く状況で、みんなで最後まで戦い抜いたのは素晴らしいこと」とポジティブな面を強調した。
結果的に試合を壊すことになったブラッキンズについても、「みんな一生懸命、勝つためにやっているので、責めようとは思いません」ときっぱり。明日はブラッキンズを出場停止で欠くことになるが、「リバウンドを取って走ること、そして今日やられたワイドオープンをケアする」ことで勝機を見いだす。