藤井祐眞

「こいつが交代してくると嫌だ、という印象を与えられた」

『B.LEAGUE AWARD SHOW 2019-20』最終日。数々の賞が発表されたが、一番の衝撃を与えたのが藤井祐眞だった。

藤井は『ベスト5』、『ベスト6thマン賞』、『ベストディフェンダー賞』の3冠を達成する史上初の快挙を成し遂げた。「一つもらえるだけでもありがたいのに、それを3つももらえて本当にありがたく思っています」と藤井は笑顔を見せた。

どれも名誉ある賞なだけに比較は難しいが、藤井は『ベスト5』が最もうれしいと言う。「チームの成績もそうですが、ベスト5はリーグの中でも本当に活躍したトップの5人に贈られる賞だと思うので一番うれしいです。でもディフェンダー賞も6thマン賞もそれぞれに意味がある賞だと思っています」

今シーズンの藤井は出場した39試合中19試合で先発を務め、平均23.1分のプレータイムで12.1得点、2.5リバウンド、5.0アシスト、1.1スティールを記録。アシストはリーグ8位、得点とスティールは日本人選手に限れば、それぞれ4位と7位の数字だ。

篠山竜青やマティアス・カルファニのケガがあったにもかかわらず、川崎が大崩れすることなく31勝9敗で中地区優勝を果たせたのは、藤井のパフォーマンスによるものが大きい。

藤井は2シーズン前にも『ベスト6thマン賞』を受賞しているが、60試合中11試合の先発出場とほぼ6thマンに徹していた。当時と比べ、自身の役割は少なからず変化したが、藤井のスタンスは基本的に変わっていない。

「2年前はほとんど控えで出ていて、流れを変えたりするところが評価されたと思います。今回は篠山選手のケガもあってスタメンで出る機会が多くなった中でも、半分以上は控えで出ていました。そういった意味で相手チームから『こいつが交代してくると嫌だ』という印象を与えられたのは良かったです。そういった意味では今回も2年前もあまり変わらないですね」

藤井祐眞

「狙っていたというより、楽しんでやった結果」

プレータイムが確約されていることもあり、「スタメンで出たいとかは特にないです」と、藤井に先発への特別なこだわりはない。それでもケガ人が出た時期には、チームを牽引する意識を持っていたという。

「今シーズンは誰が出ても変わらないエナジーでハードワークできる選手を監督が選んでくれたので、特にこれと言って自分が何かをしたわけではないです。その中で篠山選手がいなくなった時に崩れた試合もあったので、自分がリーダーシップを発揮しなければとは考えましたし、マティアスがいなくてマイナスに見られないようにハードワークしました」

基本的に『ベスト5』は先発選手が受賞するものだ。そのため、『ベスト6thマン賞』との同時受賞は異例と言える。それでも、藤井がこの快挙を達成できたのは、どんな状況であっても楽しむメンタルを持っていたからだ。

「交代で出た時はその場の状況判断が必要で、スタメンはスタメンで役割があるから難しかったです。でもいろんな楽しみもあったし、やりがいもありました。同時に受賞できたのは狙っていたというより、すごく楽しんでやった結果だと思います」

今回のトリプル受賞により、藤井が獲っていない個人賞はMVPのみとなった。今シーズンの活躍により日本代表選出の期待も高まった藤井は、来シーズンに向け欲張りな目標を掲げた。

「まずは今シーズン果たせなかった優勝を一番に目指します。日本バスケット界がメジャーになってきていると思うので、オリンピックで勝ってメディアにも取り上げられて、もっとメジャーにしたいです。そこに自分がいたらいいなという気持ちがあります。今回3つの賞をいただきましたが、また6thマン、ベストディフェンダー、ベスト5になれるように。そして、その上のMVPも狙っていきたいです」

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