「去年よりも成長して、この舞台に戻って来れた」
『B.LEAGUE AWARD SHOW 2019-20』の最終日を迎え、栄えあるMVPに輝いたのはアルバルク東京の田中大貴だった。今シーズンの田中は出場した39試合すべてに先発出場し、平均11.1得点、4.8アシスト、1.5スティールを記録。安定したパフォーマンスを続け、地区優勝したチームの原動力となった。
「今まで受賞できていなかったですし、こうやって評価していただいて受賞できたことはすごくありがたいです。素晴らしい組織の中でプレーさせていただいたことをあらためて感謝しています」と、田中は受賞の喜びを語った。
昨シーズンも『ベスト5』を受賞した田中だが、昨シーズンは「やり切ってアワードに立ちたい」と話すなど、決して自身の受賞に満足していなかった。だが、今回の受賞に関しては「去年よりも成長して、この舞台に戻って来れた」と満足感を得たようだ。
「チームもケガ人が出たりして苦しかったですが、アジアチャンピオンズカップも優勝できましたし、自分も良いパフォーマンスができました。終了するまでは良いシーズンを送れていました」
スタッツだけを見れば、決して昨シーズンも悪くなく高値安定している。その中で昨シーズンよりも満足度が上がったのは、ワールドカップでの経験をBリーグに還元できた自負があるからだ。
「ワールドカップではフィジカルや、強度を高くプレーすることが日本の課題だと感じました。経験したメンバーの一人として、それをリーグに還元しないといけないという気持ちを常に持って開幕を迎えました。頭の片隅には常にワールドカップやオリンピックを意識してやっていました」
「自分たちがやってきたことを誇りに思う」
田中はリーグ屈指の2ウェイプレーヤーであり、その万能性がMVP受賞に大きく寄与したことは明らかだが、田中自身もオールラウンドな部分に自信を持っている。
「オフェンスとディフェンス、他のすべてのことを高いレベルでできるようになりたいと思っています。それが自分の長所でもあると思うし、ディフェンスもプライドを持ってやっています。代表でも求められているし、そこが評価されたことはすごくうれしいです」
新型コロナウイルスの影響でシーズンは中止となったが、結果的にチームは激戦の東地区で首位となり、リーグ最高勝率を残した。「東地区の中で危機感を持ちながら戦ってきました。それが形として残ったので、自分たちがやってきたことを誇りに思う」と田中は言い、3連覇を目指すチャレンジはひとまずは成功と言えるだろう。
田中にとっての今シーズンは個人としても、チームとしても素晴らしいものになった。それでも「今の状況で世界に出ると自分はどれだけの選手なのかとか、まだまだ未熟な選手なんだなということを考えたりもします」と言うように、その向上心は尽きない。
東京オリンピックは延期になったが、「自分が納得するためにも世界で結果を出したい」という田中の挑戦はこれからも続いていく。