横浜ビー・コルセアーズの舵を取る尺野将太(後編)「ウィスマンとの二人三脚で」

2018/02/03
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=丸山素行、B.LEAGUE

Bリーグ2年目のシーズンを迎え、再び横浜ビー・コルセアーズのアシスタントコーチに就任した尺野将太。キャプテン湊谷安玲久司朱の大ケガ、ジェイソン・ウォッシュバーンの契約解除と不運が続く中、尺野は2年連続でシーズン途中にヘッドコーチに昇格するという前代未聞の経験をすることになった。ただ、指揮官交代でチームがすぐに危機を脱するほどB1は甘くない。横浜は8勝24敗で中地区最下位、残留争いに再び巻き込まれている。

ただ、昨年11月下旬にトーマス・ウィスマンをアドバイザーに迎え入れ、新体制となったチームは徐々に変わっている。そんな横浜の2シーズン目を尺野ヘッドコーチに語ってもらった。

2年連続でシーズン途中でヘッドコーチに

──今シーズンも途中でヘッドコーチが退任することに。昨シーズンと同じシナリオですが、こんな経験をするのは後にも先にも尺野コーチしかいないのではないでしょうか?

2017年に2回、アシスタントコーチからヘッドコーチに昇格してますからね(笑)。

──まさに激動の1年ですね。それでも経験がある分だけ、昨シーズンよりも指揮を執りやすいのではないかと思いますが、実際はいかがですか?

メンバーが大きく入れ替わったわけではありませんが、スタートの時点でヘッドコーチが代わっているので全然違うチームになっています。なので昨シーズンと比べることはできません。プレーの部分もそうですし、メンバーが入れ替わったことで人間関係にも変化があったので、余裕は全然なかったです。ただ、今回もやるしかないっていう感じでした(笑)。それでも今シーズンは11月末にトム(トーマス・ウィスマン)がアドバイザーとして入っていたので、その分のやりやすさはありました。

──ヘッドコーチとアドバイザーの立ち位置はどうなっていますか? どちらの言うことを聞けばいいのか選手も戸惑いが生じるのではないかと思うのですが。

練習中はトムが仕切る場面もあったり、僕が仕切る場面もあります。ですがヘッドコーチは僕なので、最終決定は僕がすることになります。指示が食い違う時は僕のやり方でやらせてもらいます。試合で采配をするのは僕で、トムはベンチに入らないので、最終的に試合でうまくいくことが大事ですから。ただ、練習の前のミーティングで2人の意見を出し合ってどうするかを決めているので、大筋のところで食い違うことはありません。

──新体制になってチームにはどんな変化があったのでしょうか。

正直、何が変わって今の数字になっているかは分かりません。でもトムは昨シーズンに栃木ブレックスで優勝していますし、いろいろな国の代表チームを見てきたキャリアもあります。トムの中でプレーヤーに求めている基準が明確にあって、それをしっかり示してくれます。「このくらいできていれば大丈夫」と思っていたところで、トムが「まだ届いていない」という判断をすることもあります。今までよりも高いプレーの基準が求められるようになりました。

「一つひとつのプレーをどのくらいの完成度でやるのか」

──ウィスマンを招いて戦術的なアドバイスをもらっただけで勝てるようになるほどB1は甘くありません。実際、今のチームもなかなか勝てない状況にあります。

そうですね、どのコーチも戦術面ではいろいろな知識を持っています。そもそも千葉ジェッツみたいに速攻で走られてしまったら、こちらが対策する以前の問題になってきます。そのあたりのアプローチが昨シーズンの自分には足りませんでした。

自分が「これで十分だ」と思うレベルよりも高いものを求める必要性を感じています。今は選手もよりハードな取り組み方をするようになったと感じます。一つひとつのプレーをどのくらいの完成度でやるのか、一つのスクリーンをどれだけ正しくやるのか、そういった部分が少しずつではありますが改善されています。

──千葉の話が出ましたが、天皇杯を制した千葉とのリーグ再開の試合で対戦しました。初戦は終盤まで競りましたが、第2戦では大敗を喫しました。

初日の第1クォーターはウチがリードする展開に持ち込めました。それは練習から求めていたディフェンスを頑張って、しっかりプッシュするという形を取ることができた結果です。それを40分間継続する、もっと言えば2日間で80分間の継続力の部分で、千葉にはまだまだ太刀打ちできませんでした。点差が離れて気持ちが切れてしまったところが、勝つチームとのウチとの差なのかなと思いました。

──「気持ちが切れる」という表現をよく耳にしますが、そういったメンタル面の弱さはどうすれば改善できるのでしょうか?

やはりトムの求めている、プレーの基準のところですね。千葉が表現していたプレーの基準、それを自分たちが求めていくという厳しさが練習からもっと必要になります。

──学生コーチとしてコーチングをスタートさせ、現在はB1の舞台でヘッドコーチを務めています。これまでの経験から見えてきたものはありますか?

女子のチームにいた時は、ある程度は選手に自由に判断させていました。しかし女子は自由度の度合いが高すぎると、どうしたらいいか分からないというか、困っていたんです。ある程度の型を与えてあげると、その中で力を生かしていました。

男子は逆で、自由度が高い中でプレーをさせたほうが良いと最初は思っていたんです。ですが、ある程度は型を決めてあげて、相手のディフェンスの対応によって判断をするような形のほうがチームとして力を発揮できると思います。もちろん、型にハメすぎて選手の自由を奪ってしまうのは良くないですが、自由すぎるのは個々の良さが生きないように感じます。

勝利した試合は得てしてそこのバランスがうまく取れていて、タイムアウトも必要ないと感じるほどです。その感覚をもっと増やしていきたいですね。