文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE

栃木に連敗、激戦の東地区で最下位へと沈む

レバンガ北海道が難しい状況に立たされている。開幕からここまで好調をキープし、激戦の東地区にありながらチャンピオンシップ出場権争いを演じてきた。しかし、ここで予想外のアクシデントが起こる。1月23日、スコアラーとして活躍していたグレゴリー・ウィッティントンが大麻取締法違反容疑で逮捕され、クラブは即座に契約解除を決断したのだ。

チームの好調を支えた外国籍選手が抜けたのだから、深刻な戦力ダウンである。また残った選手への影響も少なからずあっただろう。先週末の栃木ブレックス戦では連敗を喫し、栃木と同率ながら東地区最下位へと転落した。

栃木はシーズンの入りに失敗して低迷が続いたが、Bリーグの初代王者であり地力はある。出遅れはしたが戦力が整った今、「あとは良くなっていくだけ」という印象だ。一方の北海道はただ直接対決で連敗しただけでなく、不祥事という重みがのしかかる。

高い志を持たないのであれば、あきらめてしまえばいい。東地区最下位とはいえ17勝15敗と貯金がある。降格のリスクがあるのは全18チームの下位4チーム。シーズン後半戦を『流した』としても、14位以上を確定させるのにさほど苦労することはなさそうだ。

しかし、北海道はそんなチームではない。昨日の試合後、水野宏太ヘッドコーチは敗戦についてのコメントを早々に切り上げ、『今後』について言及した。「この2日間は痛い敗戦になりましたが、ここから是が非でも学んで、もう一回自分たちが強いレバンガ北海道になるためにやらなければならないことだけを見据えて、前に進んでいきたい」

「できることをやり続ける、成長することを止めない」

「レバンガ北海道というチームを応援してくれるファンだったり、もちろんスポンサーの方だったりに背を向けることなく、しっかり前を見据えて戦っていきたい」という指揮官の言葉は、プロフェッショナルとしての姿勢をあらためて打ち出し、確認するものだ。

選手は前半戦の健闘で一応の評価をすでに得ているし、五体満足の者はいない。「ここまで良くやった」と自分に言い訳できる材料は揃っている。それだけに、ヘッドコーチとしては今が腕の見せどころ。手綱を緩めることなく、それぞれの選手のやる気を刺激し、チームとして一つの目標に向かわせなければならない。

逮捕の事件があった直後の栃木戦、試合に集中させるためにどんなアプローチをしたかと問われると、水野ヘッドコーチは「ブレないこと」と答えた。

「こういうことがあったから違うアプローチをすること自体が影響を与えると感じたので、『プレーオフ以上』という目標をブレさせることなく、どのような状況でも出していく。組織のモットーでもある『明日への活力』を皆さんに感じてもらう。それがフロントも含めて目指している、やらなくてはいけないことだと話しました。自分たちができることをやり続ける、成長することを止めない。これは変わらず言ってることで、何か特別なことはしていません」

様々な試練を経験する中でチームは成長する

昨シーズン前半戦、北海道はケガ人続出で苦しんだ。それでも途中から立て直し、最終的には余裕を持って残留を決めている。その経験があったからこそ、今シーズン前半戦の躍進があった。

指揮官は言う。「昨シーズンもケガ人がいたり、いろいろありました。ここ数年で自分たちは経験する中で強くなっています。この2日間、皆さんがどう感じたかは分かりませんが、自分としては戦う意思はコートに置いてこれたと思っています。そこは恥じることなく、プレーオフ以上を目指すことも変えませんし、自分たちがシーズンを通して向上していくことも変えるつもりはありません。その目標に向かってブレずにやっていきます」

シーズンが折り返しを迎えたばかりのこの時点であきらめるつもりは毛頭ない。チームとしてどう成長し、周囲の期待に応えていくか。レバンガ北海道は今までと変わらず、プロフェッショナルとしての姿勢を見せていく。