写真=Getty Images

2人はケンタッキー大学時代のチームメート

1月27日、ペリカンズはデマーカス・カズンズのMRI検査結果を公表し、当初の見立て通り左足アキレス腱断裂であったこと明らかにした。カズンズは近く手術を受ける予定で、年内中の復帰は難しいと見られている。

カズンズにとっては、キャリア初のプレーオフ進出を果たすために重要な時期だった。オフにはフリーエージェントになる予定で、移籍市場での自身の価値を高める上でもキャリアのカギとなる時期だった。それだけに精神的なダメージは計り知れない。しかしケガは予測不可能なもので、起こってしまった以上、できる限り早く、そしてできるだけ影響がなく復帰できるよう、地道なリハビリとトレーニングを重ねることしかできない。

カズンズの重傷を知ったウィザーズのジョン・ウォールは、その悲痛の思いを『Washington Post』記者のキャンデイス・バックナーに語っている。

「辛い。彼は素晴らしいシーズンを送っていた。オールスターのスターターにも選出されたのに、こんなことが起こるなんて悔しい。多分、デマーカスより俺の方が辛い気持ちになっているんじゃないかな。俺は努力して成果を得る人間が好きだ。周りの人間がこんなことを経験する姿なんて見たくはない」

また、負傷したことを聞いてカズンズにメールを送ったことも明かしたが、おそらくカズンズが携帯電話の電源を切っているとも話した。

ウォールとカズンズは、ケンタッキー大学でチームメートだった。2人はともに2010年のドラフトにエントリーし、ウォールは全体1位指名を受け、カズンズは5位指名でNBA選手になる夢を叶えた。チームは違っても、2人の仲の良さはNBAでは有名だ。今夏フリーエージェントの権利を得るカズンズを、ウォールがウィザーズに勧誘するのではないか、とも言われている。

その他にも、多くの選手や関係者がカズンズを励まし、早期復帰を願うメッセージを送っている。多くのファンも同じ思いだろうが、復帰は早くても2019年になりそうだ。キングス時代にはヘッドコーチとの衝突ばかり取り上げられ、能力はトップクラスでも『扱いにくい選手』というレッテルを貼られた。しかしペリカンズにトレードされてからは、同じくオールスターのアンソニー・デイビスとの『ツインタワー』が機能し始め、指揮官アルビン・ジェントリーと衝突することなくプレーに集中していた。

勝てる環境さえ与えられれば、元来カズンズは持てる力を全力で尽くすタイプの選手でもある。アメリカ代表として出場した2016年のリオデジャネイロ五輪を見てもそれは明らかで、カズンズはチーム内で求められた守備に徹し、金メダル獲得に大きく貢献した。キングス時代はサポーティングキャストに恵まれず、攻守を一人でこなしている印象が強かった。過去の成績、そして現代医療の進歩を考えれば、たとえすぐに貢献できなくとも、カズンズの力を欲してマックス契約を提示するチームが現れる可能性はある。

ウォールは昨年末、カズンズをリクルートするかを聞かれた際「そのつもりはない」と答えた。しかし、ウィザーズがカズンズの獲得に関心を示せば、フランチャイズプレーヤーとして、球団に協力するだろう。

キャリアを左右するほどの大ケガから完全復活を果たすには、精神的な支えが欠かせない。去就に関係なくとも、昔から知る球友が手を差し延べれば、カズンズにとってこれ以上ないサポートになるのではないだろうか。