文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

ワンパス速攻の極意は「良い受け手がいるから」

千葉ジェッツは昨日行われた横浜ビー・コルセアーズとの第1戦に勝利し、勝ち星を20に乗せた。天皇杯と同様に、爆発的な破壊力を持つトランジションオフェンスが勝因となった。ギャビン・エドワーズやマイケル・パーカーらビッグマンが速攻の先頭を走り、サイドにはシューターが待ち受ける。その破壊力は一瞬で相手の心を折るほどの威力を持っている。

その速攻のほとんどは西村文男から繰り出された。負傷した富樫勇樹に代わり今シーズン初先発となった西村は10得点8アシストとオフェンスの起点となった。特にワンパス速攻の多さは印象的だ。「走ってノーマークを作ってくれているので、しっかり出さなきゃなという意識でやってます」と西村は言う。

相手も千葉の速攻は警戒するし、ロングパスは一歩間違えればターンオーバーになるリスクも含む。それでも西村はたやすく速攻を成功させた。昨日の試合では特にボールをプッシュする姿が多く見られ、試合のテンポを上げていた。

「タイミングを見て走れるなと思ったら走りますし、早めに持っていってダメだったらダメですぐ引くという意識です。早く持っていって無理にシュートまではいかないです」と、速攻の可否を見極める確かな目があるからこそ千葉のトランジションは破壊力を増している。

強みを生かした勝利に「少しまた強くなってるのかな」

結果的に快勝したものの、第1クォーターは横浜の連動したオフェンスに手を焼き、10点のビハインドを背負った。西村も「前半は走れなかったし、点が入らなかったので少し苦戦はしました」と振り返る。それでも天皇杯を制し、束の間のオフを挟んでからの試合だったこともあり、「最初はうまくいかず多少リードされるかもなとは思っていたので、だいたい予想はしてました」と語る。

良い意味でそうした心構えがあったからこそ、パニックに陥ることなく立て直すことができた。「どれだけ我慢強くやっていくかが大事になると思っていました。ひっくり返してあの点差まで持って行けたので、また少し強くなってるのかなと思いますね」とチームの成長を感じている。

西村は両チーム最長となる35分間コートに立ち続け、95点のオフェンスを操った。「誰にパスを出しても良いバスケットをしてくれたので、僕は良い意味で休ませてもらいました」と、プレータイムの長さを苦にしない。「自分はそんなに体力がないので」と言う西村は、「パスを出してみんながガツガツ点を取ってくれればそれにこしたことはないです」と『省エネ』スタイルもハマった。

良い受け手がいるだけでは速攻は完成せず、そこには良い出し手が必要だ。西村はトランジションオフェンスにおいて受け手の存在を強調したが、その受け手も西村への信頼があればこそ迷わず走ることができる。

横浜は昨日以上にトランジションを警戒して第2戦に臨んでくることが予想される。西村がそれに対しどんなパフォーマンスを見せるか、今日も注目したい。