文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

横浜に先行されるもトランジションで反撃

千葉ジェッツvs横浜ビー・コルセアーズ第1戦、得意のトランジションが爆発し終盤に突き放した千葉が95-79で勝利を収めた。

序盤はアウェーの横浜が素晴らしい立ち上がりを見せる。連動した動きからノーマークを作り、満田丈太郎と細谷将司が3ポイントシュートを決めて先手を取ると、千葉のお株を奪うトランジションから高島一貴が速攻を決めてリードした。逆に千葉は、横浜が良いシュートで終わるためにアウトナンバーを作れず、速攻へと持ち込めない。良いリズムが作れず、3ポイントシュートもリングに弾かれた。

それでも千葉は16-26と2桁のビハインドを背負って迎えた第2クォーターから反撃を開始する。ギャビン・エドワーズが先頭を走り、自らもボールをプッシュし、チームに速攻の意識を呼び起こさせる。得意の形が出始めたことでハーフコートバスケットにもリズムが生まれ、シュートの精度が上がる。

トランジションから西村文男、レオ・ライオンズ、小野龍猛が3ポイントシュートを沈め、第2クォーター残り5分から16-4と一気にペースアップ。このクォーターだけで30点を奪った千葉が46-43と逆転して前半を終えた。

堅守からの速攻、持ち味を出した千葉の完勝

千葉は後半も堅守からの速攻を展開し、ハーフコートバスケットでは小野やマイケル・パーカーのインサイドプレーなど強みをしっかりと生かし得点につなげる。後半開始3分で12-2と走り、優位を決定的なものとした。

対する横浜は千葉のディナイディフェンスに苦戦し、第1クォーターのような連携プレーが影を潜め、苦しい外からのシュートが多くなる。ハシーム・サビート・マンカのインサイドプレーで得点するも単発で、流れを呼び戻すには至らなかった。

第4クォーターに入り、横浜はペースダウンさせてサビートの6連続得点で65-71と2ポゼッションまで詰め寄った。だが千葉はタイムアウトを機に立て直し、再びトランジションオフェンスを展開。ギャビンのコースト・トゥ・コースト、ライオンズの3ポイントシュートで点差を2桁に乗せ、その後も堅守速攻が火を噴く。

残り4分52秒、1分間で9-0と走った千葉が点差を20に乗せたところで勝負アリ。千葉ポートアリーナに詰めかけた5909人の前で天皇杯を制した実力を見せつけた。 

「オフェンスは何も言うことはない」と指揮官も納得

大野篤史ヘッドコーチは「インテンシティの低いディフェンスからジャンプスタートされてしまった」と重い立ち上がりを振り返る。それでもトランジションオフェンスが威力を見せたことで、「オフェンスは何も言うことはないです」と指揮官も納得する出来。「しっかりカムバックして勝利できたので良かった」と安堵の表情を浮かべた。

要所で3ポイントシュートを連発した小野も「天皇杯明けで重要視していたので、後半にチームで結束して勝てたので良かった」とホッとした様子。それでも『隙』を見せた第1クォーターの立ち上がりについては「出だしから自分たちのバスケをして相手の出鼻をくじくようにしたい」と反省を語った。

敗れた尺野将太ヘッドコーチは千葉のトランジションを警戒していたものの、それを千葉が上回ったと語る。「リーグで一番速いチームだと分かっていたので、そのトランジションにどれだけついていけるかが勝負だと思っていましたが、相手が速かったです」

日本一のトランジションを止めることは容易ではない。改善のカギはディフェンスよりもオフェンスだと尺野ヘッドコーチは指摘する。「トランジションディフェンスだけを修正しようとしても、あれはなかなか止められない。良いオフェンスで終わってディフェンスの準備をできる状況を作るために、しっかりオフェンスの修正をします。あとは気合と根性で40分間トランジションディフェンスをしたいです」

力の差があるからといって絶対に勝てないとは言い切れない、時には精神面が試合を左右する場合もある。明日の第2戦は千葉の破壊力抜群のトランジションに対し、横浜がどこまで根性を見せられるか、メンタルの強さが問われる一戦となりそうだ。